翌日。
普段は駅で待ち合わせ・・というか同じ電車に乗る麻衣子と琴江だったが、今日は華菜里のパソコンを運ぶ手伝いの為に、彼女の家の前に集合。2人あつまったところで琴江がLINEで呼び出す。

つまんないなぁ~。”カ~ナリちゃんがっこいこ~”みたいなのあってもいいのに

やりたきゃやれば?気が付いてないかもしれないし。というか大尉じゃなかった?

え?それよく考えたら軽くイジメじゃない?

そんなことを言ってるとすぐに玄関の扉が開いた。

おはよ~。ごめんね~・・手伝ってもらって。

いいよ。別に。ところで持ってくPCの準備できた?

ん~。というかお父さんが新しいPC買ってた・・・。

え~。その日のうちに?!

うん・・。
なんか私に甘いというか、日本で友達できるか心配してるみたいでなんかこういうことには妙に張り切るんだよねぇ。

へ~。ちょっとうらやましいな。

手荷物用のキャスターはあり、ほぼ新品のままの梱包がされたパソコンなので、3人はゆっくりとしたペースで歩きながら登校した。

放課後~~
部室に集まってとりあえずセッティングを手伝いなら、一部は昨日の続きという感じでゲームを始めていた。
そこに先生がやって来た。

みんな、もう始めてる?

大体は。もうちょっと大尉の分の設定があるけど。

大尉?誰の事?

そう聞いたみんなの視線は華菜里に向かっており、本人は微妙な顔をしていた。

あ~・・そうだったわね。大尉ね。うん。

あれ?先生は知ってたの?

ええ。確か入学前の面接のときにリボンとかのアクセサリーの装着してていいのか?みたいなことを聞かれた気がするね。別に構わないけど、夏のプールの授業の時にどうせばれるんじゃない?みたいなことを言った気がするな~。

あはは・・そうでしたね。

まあいいんじゃない?ヘリパイロットなら大尉ぐらいだろうし。アバターのパイロットも大尉だったよね?キャメロン監督だったらナイナーって言わせて喜ぶタイプのキャラでちょうどいいじゃん。

先生まで賛同しはじめていやそうな顔をする華菜里。

そんなに嫌ならほかのニックネームがいい?カナリだから・・カナちんとかカナリンとか?

・・普通に呼ぶという選択肢はないんですか?

いや、呼び捨てはあれなかんじがするし、カナリちゃんだとかなり長い。


わりと真面目な顔で麻衣子が答える。

大尉でいいです・・・。

じゃあ私のPCあいた訳ね?じゃあネット配信もテストしていこうかしらね?

ネット配信?

正直まだゲームに関しては完全に初心者だ。
最近はゲームプレイの動画や実況をしている人も多くなったが、それなりに工夫やプレイが上手い人が中心だ。
自分たちがやるにはまだ早いという思う。
雰囲気を察したのか先生はフォローを入れる。

ゲームのだよ。もちろん。当面は特に番組形式というわけでもなく、部活中の風景とプレイ画面を淡々と流す感じね。それにこんな夕方とかの微妙な時間帯の対戦相手を探すにはある程度プレイの宣伝もしていかないと。

前にも思ったんですが、なんでこの部活女子だけなんです?男子部員とかいれば対戦相手や部員集めにも困らなかったような気がするんですけど。

え。私が男子部員とかいらないかと思うからよ?

割と真顔で答える。

この学校の先生やるまえは専門学校で講師とかもしたことあるけど・・男はなんというかダメね。ゲームなんかいくら上手くなっても意味ないのにゲームばかりやっちゃって肝心のゲーム制作がおろそかになる。

というか男だから?強さを求めちゃうっていうのか、なんかすごく勝ち負けにこだわった挙句ゲームをつまらなくしちゃうんだよね。彼ら。

そういうもんなの?

まあ子供のうちはそんなもんよ。なんというか勝てる土俵を求めて転々としてる感じ。まあそれはともかくとしてもゲーム制作のプロを目指すならゲームプレイのプロを目指す必要はないわけで、できればゲーム止めさせたいぐらいなんだよね~。

あ~なんとなくわかるわ~。ゲームに関してはすごく子供っぽいところあるよね。私たちが言うのもなんだけど。

琴江がつぶやく。
麻衣子はこれを聞いて、初めてゲームセンターで出会った頃を思い出す。
妙につまんなさそうな顔で格闘ゲームしてる子ってイメージあった。
なんか嫌なことでもあったのだろうか・・。

他の先生を顧問として捕まえて男子のeSports部なりゲーム部を作るのは勝手にしたらいいし、そういうチームと対戦するのも別にいいけど、彼らの流儀に付き合う必要はない。
なんというか女子バレーボール部が卒業して結婚しても、ママさんバレーボールみたいにずっとプレイできたらいいとおもってるのよね。ゲームを。
そのためには女子だけで部としてゲームをプレイして、チームワークを感じる場にしたいのよ。それってこういう場じゃないとできないと思わない?

まあ確かにゲーム友達を作りたいとは思っていても、勝ち負けのあるゲームではなかなか友達ができないって感じはありますね。MMORPGのほうがいいじゃんとか、スマホゲームでも対戦するより気軽にフレンド登録して”協力しかできない”みたいなのが多いとか。

あなた確かに友達すくないですものね。

友紀のつぶやきに沙織がツッコム。が、それはお互いさまだろう。
少ないゆえに相性のいい性格ではないのになぜか微妙な友達関係が続いてきたのだから。

でもまあ、基本的には元ゲーム屋としての興味よ。プロのゲームプレイヤーが存在できるならきっとこんな感じだろうというのをあなた達でまあ・・・実験してるということね。言い方はともかくとして。
こないだのホームページやもしかしたら歌手デビューとかいう話もその一環よ。知ってる?私昔アイドルのマネージャーやってたこともあるのよ。

え?初耳です!

といっても、まあゲーム業界の時に主題歌や挿入歌を歌ってもらった子たちをサントラ発売するついでにデビューさせろとか命令されて、畑違いの私たちが短い期間活動してただけなんだけどね。

どんなアイドルだったんですか?

うん。バージンハートっていう2人組のね。多分知らないと思うけど。
まあゲームやサントラが発売してしばらくしてイベントも少なくなったら彼女たちともいつのまにか連絡取れなくなっちゃって、アイドル活動もそれっきりって感じだけど・・・プロのゲーマーなりを目指すなら、そういうファンも含めて収益を上げることを考えなきゃいけないと思うわけだし、それを体験させるには男子はなにかと邪魔だと思ったわけ。

なんか・・・意外にいろいろ考えてるんですね。

ま、どうせやるならなにか意味のあることをやりたいしね。私のボーナスアップもかかってるし。


(台無しだ・・・)
最後の一言は余計だと思う部員たちだった。

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