その日は結局数戦プレイしたところで下校時刻となった。
同じ駅からということで麻衣子と琴江は華菜里と一緒に駅の近くのイオンのフードコートでスイーツを楽しんでから帰ることにした。
とりあえずパフェやソフトクリームを注文して、それらを楽しみながらしばし雑談。

カナリちゃん。まだ帰らなくて大丈夫なの?普段の帰宅時間より遅くなると心配しない?家の人とか。

ええ。一応新しい部活始めたから遅くなるってLINEしといたんで。

そういや韓国から来たんだよね。向こうはeSportsとか結構盛り上がってるって聞いたことあるけど?

そうですね。でも基本はスタークラフトとか大手企業のスポンサーがついてるチームとその試合を放送するだけって感じですから。

へ~。FPSゲームとかどう?

まあ基本ないですよね。eSportsタイトルというとカウンターストライクぐらいでしょうけど、韓国はPC房・・ゲーム専門のネットカフェみたいなところが不買運動した結果、カウンターストライクのコピー製品みたいなのが溢れたってのがありますし。そういうコピーゲームの運営主催の大会とかはそれなりにありますけど、課金で強くなるゲームで真面目にプレイするの?みたいな雰囲気はありますね。

そうなんだ~。まあ確かに部活で数時間プレイしててもニート状態でやってる人間とは差が付くばっかりだしな~。まあeSports部といってもそんなにガチでやられても困るんだけど。

それ言い出したのあんたでしょ!

麻衣子がツッコム。なんだかんだで彼女に振り回されて、なぜかPC買って部長までやらされているんだから。
そのうえガチじゃないとか、まじめにやらないといってるようなものなので、ちょっとイラっとした。

でも確かにゲームと勉強とかの時間のバランスって結構大変な感じはあるよね。ゲーム機やスマホが手元にがあるとつい遊んじゃうみたいな。

とりあえず麻衣子は部活に参加する意義を見出そうとする。確かずっと琴江につき合わされて、放課後は自宅でゲームとかいう嫌な青春を回避したいんだった。そうだったね。

そうですね。私の場合いまだにお父さんが一緒にゲームしようって言ってくるので、さすがにそろそろ親とのコンビプレイは解消したいかな・・とか。部活にPC持っていけばもうできないからいいかな~とは思ってるんですけど。

麻衣子の言葉に苦笑いしながらカナリもあいづちをうつ。

へ~。お父さんゲームには理解あるんだ?

まあ韓国に居た頃はお父さんとネット通話するのが日課というか義務みたいな感じでしたからね。毎日話すこともないから、オンラインゲームも始めたって感じですね。

ああ、そんなこと言ってたね。今はお父さんとの二人暮らしなんだ。

そうですね。

そういやそもそもなんで日本に来たの?いやまあ説明しにくいことなのかもしれないからどっちでもいいけど。

サラリと琴江が聞きにくいことを聞く。何言ってるんだ!とぎくりとしたが、カナリちゃんは特に気にしてないようだったが・・・。

え~。まあ、お母さん嫌いじゃないですけどお父さんとはお金目当てだったとか普通に言ってましたし、もう再婚してますしね。あっちには居にくいというか、韓国の受験勉強頑張ってなかなか入れない大企業目指すぐらいなら日本語と韓国語の勉強して日本人として日本で住んだ方がいいかな~とか随分前から思ってました。

・・・ああ。確かに、向こうは受験戦争すごいって話だしね。

聞いた琴江の方がその答えにびっくりした。が、極力平静をよそおって答える。
しばしの沈黙の後。

他に隠してることない?


とりあえずなんか変な空気になったので話題を変えようとしたが、思いつかない。
もういっそカナリ本人に話題を提供してもらおうという感じだった。
それになにか割とどんどん爆弾発言出てくるし、いっそのことここでいろいろ聞いちゃって、何でも話せる友達になっておこうと思ったのもあった。

え・・・っと。実はですね・・・。

え?まだ何かあるの!!
少しぎくりとした・・・これ以上の秘密があるの?!

私の頭の大きなリボンなんですが・・・これ額の傷を隠すためのものなんです・・。

え?

琴江と麻衣子は固まった。どう反応していいのかわからないというのもあったが・・。
話しながらゆっくりリボンを解く。

覚えてないぐらい小さい頃つけた傷らしいんですが、なんかお父さんが気に入っちゃって、消すための整形費用出してくれなかったんですよ。なんで傷を気に入るのか理解できないんですが・・・

そして額には縦に大きな傷があった・・・そうあれは。

大佐だ!

がばっと2人は立ち上がる。

え?!

ねぇねぇ。”私は大尉です”って言ってみて!

え・・私は大尉です・・?

じゃあ明日から大尉って呼ぶから。

いや、そこは大佐って呼んで、時々訂正してもらうのが・・

麻衣子と琴江はなぜか盛り上がっているが、理由がさっぱりわからない。

え~・・・・なにこれ・・・。

~~~
その後住所や電話番号などの交換をして華菜里は帰宅した。

ただいま~。遅くなってごめんね。

おう。部活はどうだった?


玄関をあげるとエプロン姿の父が顔をのぞかせた。夕飯を作っていたらしくいいにおいがする。

うん。まあ楽しそう。ゲームする部活だしね。それよりごめんね。本当は私が夕食作れればいいんだけど・・。

気にするな。こないだまで中学生だった子供に一人で火を扱う炊事なんかさせられるか。一人暮らしには慣れてる父の手料理を味わってろ。

うん。

そうやって靴を脱いで玄関から中に入ろうとしたところ、廊下の脇に大きな段ボールが置いてあるのに気が付いた。

あれ?お父さんこれって・・・

ああ、それな。お前が学校にPC持っていくっていうから会社帰りに買っといたよ。

え~!!

飯食ったらセットアップだな!どっち学校に持っていくんだ?ん?


・・・・父親とのコンビは当面解消できそうもなさそうだ。

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