翌日。
登校時にいつものあおなみ線の駅のホームで琴絵と麻衣子が待ち合わせ。

おう。今朝方先生から部活のグループに送られてきたURL。スマホ持ってないから知らないだろ?

そういいながらスマートフォンの画面を麻衣子に見せる。

あれ?昨日と全然違ってるじゃない・・。

確かに昨日のアイドル的なサイトではなく、黒を基調としたサイトに大幅に変更されていた。

きっと先生、旦那に作り直させたんだぜ。まあ前のだってそれほど悪くはないとは思ったけど、ちょっと恥ずかしいよな~。中身と違うというか。


気楽な感じで琴絵は話していたが、CG科の麻衣子は一晩でまったく違うサイトを作るのにどれだけ時間がかかるかと考えていた。
(先生、意外と鬼畜だなぁ・・・)

その時、すぐ隣の場所・・・同じサイトを眺めている一人の生徒が居た。

あれ?サイトが変わってる。


井上華菜里。先日漫画研究部を辞めて階段ですれ違った少女だ。
彼女は部活を辞めた後、なにか自分が参加できそうな新しい部活がないか毎日学校のホームページをチェックしていた。
eSports部のサイトも昨日見たのだが、出来たばかりのハズのサイトが大幅に変更されている。デザインも結構プロっぽい。

もしかしたらすごいデザインができる人が居るのかな?


彼女は漫画家を目指してはいたが、それほど自身に才能があるとは思っていなかった。日本の方がはるかに多くの才能があるとも思っていた。
だからこそ学科はプロブラミングの学科にし、スマートフォンアプリなどを作れるようになって、自分で漫画的な何かを発信できるようになれればと漠然と思っていた。
それに韓国からの帰国子女だが最初からコミック科を専攻していたら、せっかくの韓国語のスキルが生かせない。そういったスキルを活かすなら世界で売れるスマートフォンアプリだろう~~と父親からの勧めもあったからだ。

サイトのプロフィール欄をみる。

CG科・・・もしサイトを作ったならこの子かな?あれ・・・この子って。


見覚えのある顔だ。確かよくこの駅で見かけるような気がする。
辺りを見回す。

ほれほれ~見てみ~~!

やめてぇ~~


同じ麻衣子のプロフィールページを開きサイトを見せながら追いかける琴絵。
目と耳を閉じるようにしてふざけて走ってしまう。

あ。


普通なら避けるところだろう。だがその時は画面の中の子がここにいたことで思わず避けるのが遅れてしまった。
麻衣子と華菜里はぶつかってその場に倒れ込んでしまう。

いたた・・・ごめんなさい。けがはなかった?


こくんとうなずいて華菜里はスマートフォンの画面を麻衣子に見せる。

へ?これ私・・。


お互い戸惑いながら何といったらいいか迷ってしまう。
少しの沈黙の後、もうすぐ電車が到着するアナウンスなどがありホームが騒がしくなってくる。

えっと・・・私もこの部活の仲間に・・・入れてください!!

華菜里のその言葉は最初は小声だったが、騒がしくなってくる周囲の騒音で最後の方は大きな声になっていた。

う~ん。突然の告白だなぁ・・。


その様子を眺めていた琴絵がとりあえずぼけてみる。

違う!

違います!

二人で大声で反論するが、にやにやとした表情のまま到着した電車に琴絵はさっさと乗り込んでしまう。

ちょ・・早く乗らなきゃ!遅刻しちゃう!!

ということで放課後。
授業の間の休み時間などに琴江は華菜里の居る教室に足しげく通い、すでに入部届けに名前を書かせていた。
・・・どうやって説得したんだろう・・。

ジャジャーンということで部活設立に必要な5人目!井上華菜里ちゃんだ!!

派手な紹介をする琴江に、正直反応に困ったというような表情のカナリ。
そこに先生と沙織が来て部員がそろった・・というところで自己紹介を始める。

えっと。井上華菜里です。中学までは家庭の事情で韓国に住んでました。なのでいろいろおかしなところもあるかもしれないですけど・・・日本の常識的な部分で知らないことも多と思うので、遠慮せずに突っ込んでください。

ベコリと頭を下げる。

ふ~ん。韓国育ちっての言ってもいいの?

富永先生がすかさず質問した。
まあ先生としては韓国人ということでいじめを心配していたというのもあるんだろう。専門教科の先生は元々はアニメやゲームの業界人で教育の経験がほとんどない。ハーフの彼女の素性は知っていたが、とりあえずその件は伏せておくつもりだったようだ。

ええ。まあ言葉とか知識とかこれからも日本に住んで国籍も日本で選択するつもりですけど、素性隠しててバレた時、友達とかの反応が変わるのが怖いですしね。

ふ~ん・・・そっか。

・・・もしかして私のせいですか?高校のクラスの自己紹介とか今までの中学とか言うじゃないですか?アニメとかでもよく・・。
そういう感じじゃなかったですもん。

少し心配そうに先生に聞き返す。

え?いや、そういうわけじゃないけどね。・・・ほら、うちの学校は割と面接重視でキャラが立ってる子を選んだみたいだから、自己紹介ではそういう自分の”キャラ”を説明させる感じに誘導を~とはクラス担任では話したけど。

キャラですか・・・

ジトッとしたいつもの感じの目で先生の方を見ていた麻衣子は、ぐるりとメンバーを見渡す。

おふぅ・・・確かにありがちな感じですね。えっと・・ツインテール百合にクールビューティ、それに私のアホ毛キャラに巻き込まれ型平凡な主人公。それに外国人ですか・・。確かに。

平凡ですか・・というか私主人公なの?

いや・・・これって・・・チームトルテ?スクールガールストライカー・・?!

ハッっと気が付いたといった表情の琴江。

スクールガール?・・ああ、TVCMやってるのみたことあるよ。なにそれ?

いや、私たちのが先に生まれてるから!

あたりまえだろ~。まっそれだけベタなメンバーがそろったというわけだ。

おい、とりあえず百合設定やめろ・・。ツインテールロリ。

な・・あなたこそアホ毛毎日セットしてくるのやめたらどうですの?

確かあのゲームのキャラはアホ毛はなかったと思うぞ。別に大食いでもないし。

収拾のつかない感じの言い合いに発展しつつある。
なんだこりゃ。

あの・・・・で。・・・よろしくお願いします・・ね?


困惑する華菜里をみて、ため息をつく富永先生。

まあ・・確かにベタよねぇ。

いや、先生みたいなキャラも居ますって。

ふぇ?


突然自分にも振られて変な声を出す。

(・・・やっぱ一番先生がベタじゃん・・。)
そう思う部員たちだった。

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