でもまあ女の子ってFPSにかぎらずゲーム好きなコって意外に少ないよね。ゲーム学科ならもう少し居てもいいと思ったんだけど。
ユキちゃんってゲーム友達居ないの?

とりあえず期待の新人に話を振ってみる。まあコトチンと出会ったのも元々ゲーセンだしね。彼女のゲーム友達も居るかもしれない。

私はどっちかというと腐女子ですから

ゲーム友達が居ないという事だけじゃなく、さらりと言いにくい余計なことを言うなぁ・・このコ。

そーいえば・・・。友達ってほどじゃないけどコスプレ好きの知り合いがこの学校の声優科に居たっけ。
コミケ帰りにゲーセンで見かけたけど、ガンシューティングもわりと上手かったよ。

これは有力情報だ。しかし・・・。

なんかすごく濃そうだね。
仲がいいわけじゃないの?

とりあえず誘いたいけど、ユキちゃんと険悪な関係なら誘えないので、やんわりと確認してみる。

う~ん。
やってるのがサイレントスコープとか警察官とかで協力プレイが出来るゲームじゃないし、一昔前のゲームだから最近はやってるの見たことないしなぁ。

まあ、仲が悪いわけじゃないんだ。

じゃあそのコ誘ってみてよ

私より石田さんが誘ったほうがいいと思いますよ。岡野ってコです。

ん?なんで。たしかにあたしも声優科だけど、初対面で部活に誘うってのもね。

コトちんはちょこちょこCG科まで来てるぐらいだから、あんまりクラスの子と仲良くなさそうだから、ちょっと渋ってるみたい。

まあ私もそれほど仲がいいわけじゃないし、キャラ的に石田さんの方が効果はあると思います。

そう答えるユキちゃん。

キャラ?

ええ、できれば私の時と同じ誘い方で。

不思議そうな顔をしているコトチン。
その理由がわかったのは翌日のことだ。

部活に姿見せた時、ベッタリと金髪ツインテールの女の子がコトチンに寄り添っていた。
今日一日CG科の教室に姿を見せないと思ったらそういうことか。

あれ?岡野さん入ってくれるんですか?

すでに来ていたユキちゃんが話しかける。

ああ・・・入ってくれるみたいだよ。

なんかげっそりとしてコトちんが返事する。

まあ安心していいですよ。
そいつ別に本物のレズとかそーいうのじゃないですから。

やっぱりといった表情でユキちゃんが話しかける。

あら?あなたは・・アホ毛のユキさんでしたっけ?

人差し指をわざわざ彼女に向けて確認する。
ちょっとユキちゃんもカチンと来ているようだ。

うるさいな。このニャース・・・。


ボソリとそう答えると、今までコトチンの後ろに居た岡野さんは突然つかつかとユキちゃんに歩み寄って、そのまま彼女を引っ張って部室の外に出ていった。あれ?

~~教室の外では小声でこんな密談が行われていた。

ちょっと・・なんでそのアダ名をあなたが知ってるんですの!!


大きな声を出さないようにだが、なんかすごい表情でユキに詰め寄る。

いやまあ・・・ちょっとね。しかしまあまああんたも大変だよねぇ~。
声がポケモンのニャースに似てるからってずっとニャースってアダ名を付けられて・・。

肩をつかまれていたユキはそのままにやりとした表情を見せたかと思うと下から覗き込むように岡野の顔をみる。

で、声質が似てるからってコミケのようにレールガンの黒子のようなキャラを作って高校デビューですか?アニメ声ってのも大変なんですねぇ・・


そのセリフを聞いて思わず後ずさる岡野・・・あきらかに図星といった表情だ。

ニヤニヤしているユキだったが、すっといつものジト目な表情に戻る。

ま、安心してください。私としてはあなたの呼び名なんてニャースでも黒子でも岡野でもどれでもいいんだし。

いぶかしむ岡野をよそに、そういって部室に戻ろうとする。が、扉に手をかけたところで立ち止まる。

でも・・本当に声優でやっていくなら黒子のマネでもいけないんでしょ?素のあなたはどんな声なのかしらね。

ホント・・・気に食わないコ・・

部室に戻ったところで改めて自己紹介をする。
麻衣子、琴絵、友紀につづいて、沙織もまずは”作られたキャラ”でおもいっきり可愛く自己紹介する。

声優科、岡野沙織です。
ゲームはアーケードだけで自宅にゲーム機も持っていない初心者ですが、よろしくおねがいします。

それは同性から見れば嫌悪感も感じるかもしれない。
確かにココでは素の自分でいられるのかもしれないけど、やはり自分は変わりたいと思う。だからこれもそのための努力なんだと言い聞かせる。

岡野沙織さん?じゃあサオリンだね。私もマイコでいいよ!よろしく~

そんなことを考えるまもなく麻衣子がフレンドリーに接してくる。

サオリン・・・

ゴメンな。岡野さん。そいつ昔からすぐ勝手にアダ名をつけて呼ぶんだよ。

中学時代・・・というか、小学校の頃からニャースとしか呼ばれてなかった。コミケ会場ではコスプレ名があったし、そもそも名前で呼ばれることもなかった。

考えてみれば先生以外に名前で呼ばれることなんて初めてだ。それもサオリンなんて。
名前やあだ名で呼ぶなんて友人同士ではアタリマエのことなのだが、彼女にとってはある意味初体験だ。

これはこの呼び方を定着させなければ!

ぜひ!わたくしめをサオリンとお呼びください!オネーサマ!!

くるりと振り返ると琴絵の手を握って興奮気味で詰め寄る。

え?ヤダよ・・・

その雰囲気に圧倒されて思わず拒否する。

いーじゃん呼んであげなよ、オネーサマ。

いや、同い年じゃん!なんでオネーサマなんだよ!

無責任に言う麻衣子にもっともな反論をする。

そうですわ、お姉さまといういう呼び方をしていいのは私だけですわよね~

ねーサオリン

空気をあえて読まずに友紀が沙織を呼ぶ。

あなたはサオリンと呼ばないでください!!


間髪入れずに沙織は拒否。・・・なんだこの状況?

とりあえず深く考えるのはよそう。

これで4人。部活として認められるにはあと一人だったね。

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