翌日から俺たちはリンゴ園に通っている。
翌日から俺たちはリンゴ園に通っている。
ぱりっと小気味いい音を立てて、真っ赤に色づいたリンゴをもぎ取っては手籠にいれていく。
まず木の下枝から始め、だんだんと木の上の方を、梯子を使って収穫する。
善ちゃん、楽しいね
そうかい
北国育ちのためか俺の返答は常に短く、要点だけをいうところがあった。
そのせいで仕事では苦労をしたし、恋愛でもうまくいかないことが多かった。
でも、直すつもりはなかった。これが俺だから。
そんな俺を、結人は好きでいてくれる。口げんかもするが、仲直りはいつも俺の手料理で、内心それが嬉しかったりする。
休憩だよー
母のよく通る声がした。
おーう
農家はたいてい、午前九時と午後三時には作業休憩をとる。
敷物を広げて、あるいはテーブルを設置して。それぞれの園地の『お茶会』が開かれている。
俺たち三人がコーヒーを飲んでいると、父が遅れて運搬車にリンゴの入った手籠を積んで戻ってきた。
年季の入った運搬車は、オイルの臭いを漂わせてぎこちなく停車した。
背景写真をお借りしました。
https://goo.gl/oCHrPq