いわゆるサラリーマンと違って、農家は自由だ。

英語で言うならフリーダム。働く時間も自由なら休日も自分で決める。

 それは、津軽のリンゴ農家も例外ではない。

 枝のせん定方法や植えるリンゴの木の品種、袋かけの有無、果ては地面に生える雑草の種類まで・・・。

 自由である、ということは何もかもを決める必要があるということだ。が、どんなに計画を立てても、思った通りに事が運ぶのは不可能に等しい。

 それが、自然相手の仕事の難しさであり、楽しさでもあるという。

 自由なのは仕事に限った事ではなく、髪型や服装、車の装飾にまで及ぶ。派手な装飾のトラックを見かけることも珍しくない。

『誰にも文句をいわれる筋合いはない』というのが農家のおっさんの共通認識なのだ。

 家族の生活を、その手で、その身ひとつで養うということへの矜持表れなのだろうかと俺は思っている。

 ごま塩頭に日焼けがよく似合う、農家一筋の父と、とにかくよく笑う母に、俺の性についてカミングアウトしたのは、およそ二年前のことだった。

第一話 フリーダム

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