環奈の父親である刑事に用事ができたことに加えて、自分たちは紅茶を飲み終えたので外に出た。刑事を見送った後、桐子と環奈は公園を歩く。適当にいいところのベンチに腰掛けて海を見ながら話をした。

それでちーちゃんが殺人鬼に近い話なんだけど、その根拠って何?

それは、私が知っている情報を全てさらけ出してからなんだけどね

 小牧千夏について桐子が知っていることは少ない。仲が良くなったとはいえ、お互いを深く語り合うほどではない。人とあまり関わろうとしなくて、かっこいい兄がいるということしか知らない。

 環奈から聞いた情報はこうだった。どうやって調べたのだろうと思ったが企業秘密のため教えてくれそうにはなかった。

 小牧千夏
 家族構成は母親と兄。父親は浮気相手を作って離婚している。母子家庭であるが養育費などある程度支払われているため苦しいことはない。
 兄は大学の薬学部、成績は優秀で返還しなくてもよい奨学金を借りている。
 母親はパート勤めである。

一見普通そうだね、一部を除くと

ああ、でも不穏な話をご近所さんから聞いてね

 小牧千夏が住んでいる団地で聞き込みをしたところ、数年前から女性の泣き声や叫び声がするようになったらしいとのこと。

時々にそれが起きているのか?

らしいね。母親が少し暗くふさぎ込んでいる姿も目撃されているから心配はしていたけどね。まあちょっと大変なことが起きているってことだが、もう一つ。

と環奈は情報を出す。小牧千夏が通っていた塾は桐子と詩音の大切な友達だった瑞希と同じ塾だったということだ。

同じ塾……。接点はあったの?

あったじゃないかな。席は隣同士だったし、仲良かったって元塾生に聞いたからね

 思わぬところからちーちゃんとのつながりが見つかって驚いた。ちーちゃんは希が亡くなってから、塾をやめたそうだ。

……

 私たちは瑞希の死で変わった。ちーちゃんも変わった。私たちは被害者。ちーちゃんは、被害者なのか、加害者なのか。もし、最悪の形でちーちゃんが瑞希の死に関わっていたら、どうするのか。

野川 詩音

殺したいわ。たとえ罪であろうと、殺したい

詩音、殺しはだめだよ

 詩音を止めるため、私は提案した。理解をするために会話をしようと提案した。私だって殺したい。でも、そんなことをして何になるのだろう。犯人を殺した時点で貧乏くじを引かされるのと同じだ。

会話をしようか、殺人鬼さんと

野川 詩音

会話ですって!?何考えているのよ

私たちができるのは、復讐だよ。殺人じゃない復讐。心理的に追いつめることはできるじゃないかな

野川 詩音

追いつめる……か

 私は知りたかった。どうしても知りたかった。
なぜ、私たちの大切な友人を殺したのですか?
たった一言だけでも声をかけたかった。

 桐子は意識をふっと取り戻す。今は現在、ゴールデンウィーク近く。あと数日したら休みが始まる。私たちの殺人鬼を追う活動は一旦お休みだ。詩音は詩音で忙しいし、私は両親に顔を見せに行かなければならない。少し、情報を整理しなければならないと桐子は思った。

情報をありがとう、環奈

 私は立ち上がり、環奈に礼を言う。

ああ、私も大切なことを伝えられてよかったよ。じゃあ、またね

 こうして情報屋との会話が終わった。

その答えは本人に聞かないといけませんね

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