――2月17日、火曜日。

アゲハ

オッハヨー♪ 真悠。

真悠

アゲハ、おはよ。
昨日は色々とありがとね。

アゲハ

楽しかったね~。
ケーキもすっごく
美味しかったし。
あ、龍太郎、おっはよー♪

龍太郎

おはよう。
昨日は遅くまで
ごめんね、真悠ちゃん。

真悠

いやいや狭かったでしょ。
ごめんね。
プレゼントもありがと。

 朝一番の廊下で、アゲハと龍太郎に会った。昨日の御礼を言って何気ない談笑をしながら、教室に入る。

友也

…………。

アゲハ

あ、友也君おはよー。
昨日は遅かったけど
ちゃんと眠れた?

友也

ああ、うん。
ぐっすり眠れたよ。

真悠

友也君おはよ。
昨日は家遠いのに
ありがとね。

友也

あ、ああ
とっても楽しかったよ。

 やっぱり友也君は、楽しそうな顔をしていない。

真悠

あれ?
るりがまだ来てない。

龍太郎

ほんとだ。
いつもかなり早く
来てるのにね。

正木先生

おはよう諸君。
ほれ座れ。出欠とるぞ。

正木先生

はいっ! 
居ない奴ぁ誰だ?

 毎朝恒例の欠席者確認。他の先生が3分かかる事を俺は10秒でやってのける。そう言い切り、自慢気に胸を張ってこの方法を使う正木先生。

正木先生

何!?
るりが欠席だと?
あんにゃろー
絶対さぼりじゃねーか。

正木先生

けしからん!
そうと決まれば電話攻撃だ!
おめぇら、一限目自習!!
教科書を熟読だ。

 歓喜の声があがる中、
「先生もさぼりじゃん」
と痛いとこを突く声も聞こえてる。

正木先生

愚か者共め。
教科書を熟読するのは、
最高の勉強。
教科書は選りすぐられた
知識が詰まっている
宝の山なんだぜ。

龍太郎

それもどうせどっかの
偉い人が言ってたんでしょ。

正木先生

ふ、ガキめが。
違うわ!

 自分の甥っ子つかまえてガキ扱いなんて、ちょっと悪乗りしてる時の先生だわ。でも、違うと言うならなんだか気になっちゃうわね。

正木先生

漫画だ。

 唖然。しかも勝ち誇った顔が、皆を妙に苛立たせてる。もう教室出てっちゃったけど、皆そんな先生の事が大好きなはず。

 メールで連絡したけど、るりはあれから夜更かししたみたいで、体調が良くないらしい。明日は元気で会えると良いな。

真悠

あー、さっぱりした。
お風呂最っ高。

真悠

よし、小説書く前に
昨日るりから貰った
『世界の魔術大全』読もっと。

 その創作の資料と言える本は、凄く刺激になって、私の想像力を搔き立てた。その内容に、箱を使う魔術があった。机の上に置いてある箱が、気のせいか昨日よりも黒く見える。深い青色の装飾が不気味なほど美しく写ったが、私は目を逸らした。

次の日へ続く 

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