また、時が動き出してしまう
そうしたら、この国は滅んでしまう

けれど、それは一人の預言者が
俺を指さしたことで収まった

……っ、ふ、……っ!

おめでとうございます王子!
貴方が贄に、選ばれた!!!

本当にそんなの都市伝説で、
俺はただ……!!

貴方の血は、神に選ばれた!
やっと、この世界に永遠が戻る!!!

……っ、助けっ……!!!

こっちだ…!!

っ……!?

良いから!!走れ!!

……とにかく、助かった

ありがとう

おー

まあ、そこまでの縁知らずじゃねぇしな?

あっ、そうだお前、誰に似てるかと
思えば……

空似なんて、よくあることだ
お気になさらずどうぞっ?

……時が、俺の血で、
止まるんだってな

良いよな

英雄はそういう死に方できてさ

何言ってんだ…!?

俺は、こんな死に方は嫌だ…!

贅沢を言う奴だな…腹立つわ…

王族の中で選ばれた者は

神に捧げられ時間を
止める供物となる――

お前は、全ての救世主だ
本当に羨ましいんだよ

――正気かよ…

俺は、お前が、羨ましい

俺は生まれた意味等ない、
歯車にすらなれない
ただのゴミ

こんな要らない人生、
取り換えたいならどうぞ?

それは自由ってことだ!!
殺されないしな!?

でも、死んだとしても
永遠に残る英雄になれる。

初めから、
存在が約束されてる宝物を


ゴミが羨ましいと
思わないわけないだろ?

俺以外、死という概念が消えるがな

……追手、早すぎだろ!?

ちょ、ちょっと、押すな……!?

これは、庇う料金って事で一つ

ああ!やっと見つけた!
王子様、帰りましょう。

そして、

瞬時、振り翳される鈍器、
しかし、地を蹴り、空を駆けて、それを躱す

――成程な、
時が止まってるってこういうことか。

――なんで、だ…!?

――なぁ、お前さ、
生きたいんだろ?

俺が、英雄になってもいいのか

お前、何言って…

それは、死ぬってことだぞ!?

だから、羨ましいんだよその生き方が!!

……で、もってそうすると、
王子を救った奴って肩書もついて死ねる

誰にも、知られないけどな

お前は一生、俺を忘れないだろ?

もし、お前の血で
時がどうたらこうたら、で

お前が偽物だと分かったら?

深くは言えねえけど、
それはないんだよなー?

そういうわけだから、そこの

な、なんだ・・・!?

俺に敵わねェのは分かっただろうから、
俺を王子として、

わっ、

連行して、絞首してくれや

なっ……!

……意地でも、お前、
連れ戻してやるからな

吐いてろ
命乞いしてた御坊ちゃまが

期待はしてやる

不幸福の王子様

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