……………

Z Z Z

寝息を聞いた聖騎士は少し笑い、魔女の寝ているベッドの反対側に腰を下ろした。

泣き疲れて寝てしまった……か

子供かよ、お前は

魔女の顔を見ながら聖騎士は呟く。

むにゃむにゃ……もっと料理をよこせ……
オラァ……マグナ……

寝言を聞いた聖騎士は少し笑った。

お前は変な奴だけど、聖騎士ではなくマグナと接してくれるんだな

そこに俺は救われているよ

「変な奴だけど」と、もう一度付け加えた。

もうやだぁ、砂漠歩きたくなーい

お前なぁ、砂漠歩かないとオアシスから出られねぇから

やだ! やだ!
ぜーったいやだ!!

…ったく、ならもう一日だけここに滞在する
それでいいか?

うぇーーーーーい
ふぅーーーーーー

ん?あれは………

あ、あなた様は聖騎士閣下ではありませんか!!

………チッ

長のフジュールと申します
このオアシスを預からせていただいてます

フジュール、俺はわけあって巡礼の身だ
余計な干渉は不要だ

しかし、閣下を無下に扱うことなどできません
どうか、今夜の宿はどうか私の家へ…

今日中にここを出る
宿は不要だ

え?!

ねぇ、お兄ちゃんが聖騎士なの?

こら、よしなさい!!

ねぇ、なんでお兄ちゃんはお父さんを殺したの?

………………

なんで私たちの家を燃やしたの!!

答えてよ………お兄ちゃんがしたんでしょ……

ムジュール、この子は?

………南の元サン王国から移住した親子です

そうか

どうか、お慈悲を!!
この子はただ悲しい子供なんです!!

人間も訳ありなんだなー

俺たちはもうここを出る
いくぞ

えーーーー
ちょ、待ってよー

こんな空気に置いてかれたら一たまりもないわ

pagetop