香奈実が見た未来はこういうものだった。

 学校の屋上、フェンスの向こうに人がいる。生徒である。桐子たちと交流がある人。
 その人は悲しそうに笑って言う。

これは復讐なんです。私の大切な人を奪ったあの人に対しての

 少女は叫ぶ。

私を理解してくれなかった、見てくれなかったあの人に対して復讐するのです。

 そういって、その人はコンクリートへと落ちていく。赤い水たまりが広がったその中心にすべての真実を知る人が眠る。

桐子は後を追って自殺、詩音ちゃんは自分を見失って失踪するの。みんなも壊れていくの。未来ではね

……

……

 その未来が来るのは数か月後。潤と沙保里はその未来に驚愕して言葉を失う。潤は誰だろうかと思考を巡らせる。防衛隊のみんなか、それかあの子か?

あなたたちの知り合いで心配な人はいるかしら?事件に関わりある人は二人いるわね

二人……ですか

そう、その二人は家族か親戚かそういう関係ね。二人とも共通点があるの。他人と関わらないようにしているってことなんだけどね

 他人と関わろうとはしないという点に潤と沙保里はぴんとくる。もしかして、あの人か?と一瞬顔が浮かんだ。

 まさかあの人なのだろうか。

大切に見守ってあげてね。焦らずにじっくりとその人が話してくれるのを待つの

もし、もしもの時があったら?その未来みたいに死のうとしているときみたいになったら?

受け止めなさい。その人は自分を否定してくれない人を探しているの。生きていく力になってあげなさい。

 潤と沙保里は決意した。何があろうともこんな悲しい結末を引き起こしてはならないと。香奈実の話が終わり、昼食の時間になったので一緒に食事することになった。

ありがとうございました。占いだけじゃなくて食事もありがとうございました。

 香奈実に礼を言って去ろうとしたが、最後に一言だけ言いたいと潤が残される。沙保里は執事の前田と共に外で待つ。

私に話とはなんでしょうか?

潤くんに嫌な事がこれから起きるの。これは予言ではないけれどね

 と先に頭を下げた。潤は香奈実の行動に驚き、頭を上げるようにいう。予言ではない、嫌な事とは何だろうか?

桐子と仲がいいことは知っているわ、桐子自身から聞いているの。あなたたちはまた運命的な出会いをするわ

運命的な、出会いですか?

そうね、あなたたちのこれからが決まる出会いなの。あなたが嫌うような方法でね

 自分が嫌う出会いとは、もしかしたら家絡みの出会いなのだろうか。潤は今まで自分がそういう目にあったことを思い出して嫌な気分になった。人は金を好む、自分自身を見てくれずにその向こうを見ようとする。そんな環境が嫌だったのだ。日本だけではなく、外国もそうだったのだ。

ごめんなさい。これはこういう家に生まれた運命なの。通過儀礼みたいなものだけど、

 と香奈実は続ける。

桐子を嫌いになってほしくないわ。これは母親としてのわがままだけど……

 そう、自分は今までそういう人たちを嫌っていた。桐子がまさか自分と同じ境遇の人であると知ったときは動揺したが、それ以前から潤は桐子を嫌いではなかった。

先輩……

 大切な友人のために涙を流す、そんな彼女を嫌いになるなんてありえないことなのだ。

私は逃げるかもしれません。でも……

 もし、望ましくないことが起きたら自分は逃げるだろうと思う。今でも逃げていることがあるからだ。

必ず、戻りますよ。何があろうと

 潤は香奈実に礼をして、後にした。

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