まさか同じ学校で親しくしている先輩が同じマンションに住んでいるとは思わなかった。あれから桐子もお邪魔することになり、薄墨潤と一緒に沙保里さんが作るフレンチトーストを待っていた。

理事長の知り合いだったのですか

そう、親戚でね。昔から世話になっているのだが……

 そういう潤は浮かない顔をしている。世話好きでおせっかいでうっとうしい姉が来ているのだ。せっかくの休日というものを姉が来たことによってつぶれてしまったという気持ちでもやもやしているのだ。ありがたいことはありがたいが、姉の説教は好きじゃない。

潤先輩?

 考え込むと心配した桐子が顔を覗き込む。潤は何でもないよと笑った。

おまたせ

 フレンチトーストに生クリームと蜂蜜がかかった甘い物が来た。3人で仲良く頂いた。

ごめんね。出会ったばかりなのに恋の相談なんて

 桐子は沙保里から恋愛相談、恋についての悩みを聞いた。自分は恋をしたことがないのでアドバイスできることは少ないのだが、沙保里は話を聞いてもらってすっきりしたようだ。

いえ、私こそ役に立ってよかったです。

 桐子は潤と沙保里に頭を下げて、その場を後にした。

彼の力になりたいの。何が何でも、自分ができることなら支えたいけれど、迷惑になるのかしら

 桐子は沙保里の相談を脳内で反芻していた。恋する相手のためなら何でもするというあの行動力はすごいと思っていた。その片思いの相手のためにやったエピソードを聞いたが引くほどのものではなかった。

恋か……。私にもできるのだろうか。

 自分にも恋をすることがあるのだろうかと考え始めると脳裏に浮かぶのは、あの放課後の時のこと。

良かった……。きーちゃん

何考えているんだ、私!

 何で先輩の顔が浮かんだのだろう。桐子は自分に起きた感情をどうするべきなのかと混乱する。
 人を恐れて死体を恐れない自分が恋するわけがないと言い聞かせているが、どうしても先輩のことから離れなかった。

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