第5話後編
















突然の来訪者は伝説の本を探していた。
































お菓子好きの人がお菓子を作るという漫画。





その小学生くらいの男の子は……














あ、僕、22歳です


























えええぇぇぇぇぇ!!?





























とってもそんな風にはみえないよ!?




























ユーヤ君のアメージングデイズ♡
第5話後編 伝説の本

































不意に、ドアベルが鳴った。









坊ちゃん、そろそろ上がりの
時間でございましょう

今日は紅茶のシフォンケーキを
ご用意しておりますぞ






現れたのは羊さん。





あぁ、もうそんな時間だったんだ。




おぉ! シツジ君!
会いたかったよ!

店長さん、今日も坊ちゃんが
お世話になりました。

おや?
その男の子は?






ケイト君は羊さんを見てペコリとお辞儀をした。




ケイトです。
伝説の本を探してきました

はて、伝説の本?

お菓子好きの人が描いた漫画だって。 
羊さん、知ってる?

お菓子の伝説の本……






羊さんは腕を組んで考え出した。




羊さんもお菓子作り好きだから
気になるのかな?

その本のタイトルは
もしかして、、、

『お菓子んゴ。僕のハートフル』
ですかな?

なに、そのセンスのないタイトル






ケイト君はパッと顔を輝かせた。




知っているんですか!?

知っておりますぞ

メーが漫画家さんに描いて
もらった本です
























































































































羊さん、何それ、聞いてないよ!?

まぁ、言ってはおりませんでしたな

シツジ君は才能の塊なのだな!

そんな天才だなんて






そこまで言っていないよ。




作者さんなんですか!?

原作者、ってとこですかな






羊さんは照れまくっている。




どうして世の中に出回っていないの?

家の者に知られてしまいまして……

どうやら漫画家が気に入らなかったようで、権力で止められてしまったのです






羊さんは困ったように首を振った。




そうか、そんなことがあったんだ。
本当に知らなかったな……

ボク、読みたいです!

お金なら払いますから、
1冊いただけませんか!?






ケイト君は羊さんにしがみついて懇願しだした。





そんなに必死になるくらい読みたいんだな……




いいですぞ、いいですが……

どうしたの?

お屋敷のほうに
ありましてですな……






羊さんはまた困ったようだ。




坊ちゃんが取りに行って
くださればいいのですが


























…………は?
























ちょっと待って?

どうして自分で取りに行かないの?

あのお屋敷には
悪魔がおりまして……

ん? 悪魔……?

悪魔がいるところに
僕を行かせるの?

めめめめ滅相もございません!

メーにとって悪魔なのであって、坊ちゃんにとってはそうでもないのかと……

悪魔って誰よ











































































































































羊さんは冷や汗をかいている。




わ、分かりましたですぞ






羊さんは意を決したようだ。




しばしお待ちくだされ。
ただいま取ってまいります



























――1時間後。



























おおお待たせしました!






羊さんは汗をだらだらかいて必死の形相でやってきた。




なんか、少し痩せた?

こちら、お持ちしました!






結構厚みのある大判の漫画本だった。





新品状態で、未開封のようだ。





表紙は、おいしそうなプリンアラモードの写真だった。





漫画家さんの名前は知らないけど……














































『原作者:麗しきメー』





……って。





突っ込まなくてももういいよね?









わー!
ありがとう!!






ケイト君は手に入れた本をギュッと抱きしめて目をウルウルさせている。





よかったなぁ。




喜んでもらえて光栄ですぞ。
苦労して取ってきたかいがありました

お金はいくらですか?

お金など!
探し回ってくださった、
そのお気持ちで充分です!

本当に嬉しい!
ありがとう!!





喜んでいるケイト君を見てこっちまでうれしくなってくる。





店長も嬉しそうに笑っていた。































ところで、悪魔って誰?






羊さんのシフォンケーキはおいしい。





食べてると幸せな気持ちになってくる。




本当に分からないのですか?






家の人の顔は何人も浮かんでくる。





羊さんが悪魔というその人物は……




まさか、姉ちゃん?






羊さんは身震いしながら頷いた。




そこまで?

広いんだから、会わないように
することくらい……

そう思ったのですが、、、

メーが振り返ると、なぜか仁王立ちをしていることが多いんです






うわぁ。





姉ちゃん、羊さんのこと好きすぎだろ……




もう何を言われるか
恐怖で恐怖で……

うん、分かった。
思い出させてごめんね

シフォン、おいしいよ


































つづく

第5話後編 伝説の本

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