君が、いなくなったから

ぼくも、消えようって思ったんだ

ひどく、せまくて、心地いい

息のできない、遠く、深く、
意識が沈むような、

ぼくだけの場所

きみは、もういない。

分かってるよ、

でも、ぼくは
偽りで現実を飾って

待っていたんだ

ぼくがすごい国、
みんなの願いが叶えられる国、

全ての夢が近い場所

――君が、近い場所を

――

ゆめだった

夢の中で、
酷い夢をみて、目を覚ます

でも、此処にも
きみはいない

ぼくは、きみをまもれなかった
ぼくは何か、君に出来たかな?

きっと何にも出来なかったよね

だから、
また、夢を見よう

ぼくが、きみをまもれる夢
深く、深く、ぼくだけの世界へ

落ち着くね

でも、きみは、いない

ぼくは、もう、なんにもない

笑っていて欲しいな

え……今、きみの、声…

……そっか

たとえ、それが、
君の言葉じゃなくても、

きみは、きっとそうやって言うんだよね

ぼくは、きみが死んで、
きみを忘れてしまっていたみたい

きみは、死んだ。
きみは、死んだんだ。

――でも、それでも

ぼくは、きみを忘れない
きみの言葉を忘れないから
――息を、するよ

久々に、飛んだ空は
酷い空だ

当たり前だよ


君がいなくなって、
はじめてのほんものの空だからね

それが、ほんものの世界なんだ

でも、これでいい。
これがぼくが選んだ世界だから

ぼくは、きみを忘れない
きみの言葉を忘れないから
――生きていくよ

いつか、この雨が虹になるまで、
それからも、ぼくは、がんばるから

ありがとう、

きみに会えたから、


きみに会えたから、


ぼくは、生きようと思ったんだ

きみを忘れなくなった話

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