彼は同じクラスの神谷勇気(かみやゆうき)くん。
少し前のことだけど、将来なりたいものを発表する授業で、『髭剃りになりたい』発言をした人だ。
いつも何考えてるか分からなくて、面白い子だとは思っていたけど。
まさか……、わ……。
私のストーカー!?
俺さぁ、竹内さんのストーカーだし!
何、そのカミングアウト
あ、あなたは……
彼は同じクラスの神谷勇気(かみやゆうき)くん。
少し前のことだけど、将来なりたいものを発表する授業で、『髭剃りになりたい』発言をした人だ。
いつも何考えてるか分からなくて、面白い子だとは思っていたけど。
まさか……、わ……。
私のストーカー!?
で、何揉めてんだよ
べ、別に?
おいおい、一部始終聞いてたっつの……
木下さん、私、本当にハヤテくんとは何でもないから!
嘘よ! 信じられないわ!!
うーん、どうしたら……
竹内さん!
え、何!?
俺がこの場を丸く収めてあげるよ!
で、できるの?
任せてよ! その代わりにさ……
ん?
そ、そのかわり……
?
その後、ユウキくんは先生を呼んできてくれた。
彼の宣言通り、なんとかその場は収まりました。
けれど、最後まで木下さんとは、一触即発の関係のまま卒業を迎えてしまったのです。
ユウキくんは両親の都合で、卒業前に転校してしまいました……。
そっか―――
……
そういえば俺達って、ここに来る前に会ってたんだよな。
なんでそんな大事なこと忘れてたんだろうか。
ストーキングまでしたのにな……
うん……。
でも小学生の頃だから、仕方ないですよ
そういうもんかなー
でもなんか嬉しい、また会えるとは思ってなかったですから……
ああ、改めまして久しぶり! 竹内さん!
お久しぶりです! ユウキくん!
あと、マチでいいですよ?
じゃあマチちゃんで!
はい!
マチちゃんと昔の思い出話をする内に、過去の記憶が急速に蘇っていく。
俺は間違いなく彼女が好きだった。
多分だけど、一目惚れだったのかな……。
いや違う。
自分のどうしようもない発言や行動に対して、いつも笑ってくれて、その笑顔と優しさに惚れたんだ。
そして、彼女のストーカーになり、気付かれないように近づいた。
木下さんとのトラブル時、言いかけた『その代わり……』発言。
『その代わり、俺と付き合ってほしい』
俺はその言葉が伝えられなかった。
マチちゃん!
は、はい!?
決めた。
もうこの世界で、第二の人生を謳歌したい俺に別れを告げよう。
マチちゃん、一緒に地球へ帰ろう!
第十三章 終