お爺様の住んでいる地下室。
そこは、私にとっての楽園。
気味悪がって、あの人たちは近づいて来ない。
あの人たちはお爺様が嫌いだ。
お爺様もあの人たちが嫌いだ。
あの人たちはお爺様が嫌いなのに、
お爺様の大きなお屋敷に住んでいる。
ほとんど帰ってこないけど、「住んで」いる。
「爺さんは、もうすぐ死んでしまう……
それまでの辛抱だ」
………って話していた。
お爺様が亡くなったら取り壊して
新しい屋敷を建てたいみたい。
そんなお金なんてない癖に。
曰くつきとはいえ、
この広大な土地は手放したくないのだろう。
なんて愚かな人たちなのだろう。
この屋敷の主であるお爺様の地下室。
ここだけが、平穏な場所。
屋敷の中は汚いけれど、
ここだけはキラキラとしている。