うぐっ……

 俺は碧を庇い、そのまま左胸を刺された――。

桜子ちゃん!!

桜子ーっ!!!

…………っ

――あれ?

 刺された――はずだが、胸に痛みもなく、落ち着いて見れば出血もしていない。

 刺し傷なんてどこにもなかった。

どういうことだ?……まさか俺の治癒力はこんなにも――

そんなわけないでしょう

これ、ただのオモチャのナイフよ。よくあるやつ

 品川はそう冷たく言い放ち、意地悪い笑みを浮かべオモチャのナイフの刃を押したり離したりして柄から出し入れしてみせた。

まさかわたしが人殺しなんてすると思った?そもそも――

 品川は長机に寄りかかり言う。

もし本物の刃だったら“あなたではなく、桜子”が傷付いていたところだったわよ。そのあたり、もう少し考えたら?

――っ。

 確かにその通りだった。俺は何も言い返せない。

あぁ、そうだわ。彼女――いえ、彼もいれてあげないとね

 品川はそう言って、戸の鍵を開け麗花を中へいれる。

……

さて、気を取り直して。

あなたたちがわたしに言いたいことはわかっているわ。大内さんと城ヶ崎さんの件でしょう?

出会いから話していった方がいいかしらね?
――まぁそう堅くならずにリラックスして聞いてくださいな

特にあなた…今は城ヶ崎さんだけど。
かつて恋仲だったじゃない。さみしいなぁ

…そんなの、過去のことだ。
実際君は本気じゃなかったんだろう

……本当に、僕はバカだったよ

だがそんなことはいい。ここで今全て話せ。この転生事件の真実を
なぜ彼女たちは転生し、僕らは彼女たちに転生させられたのか

えぇ、わかってるわよ。落ち着いて。
今からゆっくり語ってあげる

 品川は窓の外を眺め、過去を見つめるように目を細めた。

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