檻田

ざっくり聞こう

檻田

常世王って、
ずっとこんな感じなのかい?

犍陀多

……その、なんだ

犍陀多

こんな感じ、がどんな感じだ

檻田

ざっくり言ったら、
ざっくり返されたね…?

檻田

神を喰らう目的が
分からないって
言えばいいかい?

犍陀多

いや、さっぱりだ

檻田

…………うん、

檻田

順を追って、話そうか

檻田

まず、はじめに
君を幽閉したのは、
ただ腹立つから

犍陀多

おう

檻田

……だと、
君にも憂叉にも思われてるけど

檻田

大勢の和国民が、
酷い目に合う推測が
立っているのに、

それだけの理由で
自己勝手はしないよ

君を幽閉したのは、

和国の神と和国の関係性を
確認するためだった

犍陀多を幽閉してから、
和国は衰退した

申し訳ないとは
本当に思っている

でも、こうするしか
調べ方が分からなかった

それから、常世国だ

あの時は、常世王より先に
常世国を滅ぼしてしまったから
確信はないけど

憂叉

常世王は常世国の
盛衰に影響致します

と言っていたから、
その反対も然りなんだと推測できる

檻田

この辺りまでは、合ってるかい?

犍陀多

合ってるかどうかは分からねぇが、
理解は出来るな

檻田

十分だよ


なら、続ける

檻田

――反対に言えば、
彼らさえいれば、
2つの国の平和は成り立つ
……はずなんだ

犍陀多

……そう、だな…


檻田

――――なら、どうして神を喰らう?

憂叉

常世王が
衝動で神を喰わなければ、


そして、
英雄が常世王を殺さなければ

この二つの国は
綺麗に回るようになっているんだよ

檻田

けれど、それを
遂行することこそ
天命だと君は言った

神こそが、この世界を壊している
まるで呪いのようだね?

遠回しに聞いてはいけないね

神の命令なのかい?

それとも、
君が神に逆らえないのかい?

君みたいな場合を除いて、
「神」って呼ばれるものは、
人とは介入しようとしない

だから、君みたいな遣いを
寄こしているし、


衝動という形で
常世王を動かしている

反対に言えば、
このどちらかさえ
神の手から離れればいい

常世王――憂叉はある程度、
抑えているけど、もう限界だ。

元々、殺人衝動みたいなものが、
あるような子だったからね

英雄になった時に思ったけど、
英雄自身も、
常世王を殺す動機みたいなものが

確かに存在していた

実際、帰蝶が彼らを殺そうとした理由も
英雄が常世王を殺す動機が
薄くなって使い物にならないから――だし

けれど。君は違う。

抗おうと思えば、出来る。

帰蝶さんなんて
自分の記憶を
燃やしてまで抗っているんだ

それでいて、
それでも、
神を殺すことには至っていない

檻田

様子を見ると、

もう、彼方も強行突破に出てると感じる
もうすぐこの国は、また繰り返す

檻田

でも、
まだ和国の神は殺されていない

檻田

それは、
まだ希望はあるということだよ

犍陀多

…………

檻田

けれど、
君は――

檻田

何も考えずに、
常世王に
喰われることを
選んだね?

檻田

君はもう神に抗う気は
ないのかい?

檻田

正直、
君の従っている神は
正気じゃないよ

犍陀多

だが、
それをすると地獄に落ちるからな

檻田

……ああ、そう。

檻田

もういい。

今ので、
君の事が分かったよ

犍陀多

何が言いたい?

檻田

ねぇ、お前

檻田

出会った時から
手馴れている感あったけど

今まで、何回、こんなことを
繰り返した?

犍陀多

――さあな、もう。
何百回かは――

檻田

――――――――――――――――、

檻田

……自分勝手だね?

檻田

聞いたよ。

前は、親友だった人たちを
全員、天命だからと
裏切ったんだろう?

犍陀多

……そう言われても、仕方ねぇな

檻田

仕方ない、と言うのは
責任が一切ない場合だけ
使える言葉だ。

そして、少なくとも君には責任があった

檻田

今回も、仕方ないで
済ませるつもりかい?

帰蝶さんは
記憶を消してまで抗った

吉良さんに
あんな煮え切ってない顔を
させてしまった

憂叉だって、
常世王としての衝動に
苦しんでいた

檻田

幽閉したのは悪いとは思うけど、

調査が終わってからは、
わざと油断して
逃げ易い空間作ったはずだ

檻田

それでも、
地獄に落ちたくない

だから、仕方ない?

檻田

馬鹿馬鹿しい

檻田

万が一だけど
自分だけが囚われているなんて
感情持っているなら
捨ててほしいね?

檻田

僕みたいな奴が
言うのは筋違いなのは、
分かってる。

――けれど、

檻田

僕らには選択肢さえないのに、
君は選べたんだ

檻田

君だけが、選べたんだよ

犍陀多

――――――ーっ、

檻田

板挟みで苦しい
自分では動く事が出来ない。

分からなくもないけど、

そうやって、
人のせいにしても変わらないから

檻田

神は衰弱か、
自らの刃でしか死なない

檻田

そして、君はその眼々様から
力を分けられているだろう?

犍陀多

――悪ぃが、

檻田

へぇ、

檻田

考えようとも
しないのかい?

憂叉

――煩いですね

お早う御座います
実に快適な朝ですね

檻田

っ、憂叉!

憂叉

はぁ
何ですか、その剣幕は

檻田

また面倒臭そうって?

憂叉

俺が、それと殺生以外に考えるとでも
最近はトランプ楽しいですが

檻田

それなら、良かった。

檻田

こいつ、
どうにかしてくれない?

憂叉

嗚呼、
俺が寝ている間に
面倒な事になったのですね

檻田

そうだよ、悪かったね

憂叉

寝ている間に
解決して下さらなかったのですか

檻田

けど、こいつが全ての原因だ

憂叉

それは
言い過ぎではないでしょうか

檻田

分かってるよ!

けれど、
どうしても、腹立つ

憂叉

それは出来かねます

檻田

なんで

憂叉

それは、常世王が神を喰らう。
その天命と同義ですから

檻田

そうだけど!?

憂叉

興奮している方の
命令など
誰も聞きたくありません

檻田

………ごめん、

憂叉

はい。
俺は、寝起きですからね

憂叉

それに、それをしてしまっては、
また彼は繰り返します。

憂叉

俺としては、
この際、ざまあみろとでも
言ってやりたいのですが、

憂叉

貴方は、彼の状況をどうにかしたいとか
馬鹿な事を考えているのでしょう

憂叉

それならば、

檻田

そう……だね……

檻田

ねぇ、犍陀多。

檻田

謝らないけど、
仲直りしてくれない?

犍陀多

なんだそりゃ、
別になんでも良いけどよ

檻田

ありがとう、謝らないけど

犍陀多

……いや、何か腹立つから表出ろ

檻田

いいね、そういうの嫌いじゃない

檻田

憂叉の剣さえぎるのに
力使い過ぎたかな…

犍陀多

なら、本気の時に
いつでもかかってやるぜ?

檻田

あ、その表情。
犍陀多らしくなってきたね

犍陀多

は?

檻田

うん、今の君はわりと好き
自由で、気儘だ

犍陀多

………まあ、嫌われるよりはマシだな

檻田

最後に、一つだけいい?

檻田

永遠に人を蹴落として
生き続けるか

和国と常世国を
守ったが為に地獄行きか、

――好きな方、選べるよ

犍陀多

………そうだな

檻田

此処まで、和国の神に
変な事話したんだから

もうすぐ、動きがあってもいいよね?

犍陀多

………ん?

犍陀多

わざと、
逆撫でする言い方してたってのか?

檻田

いや、そんなに
器用じゃないし
ほとんど本音だよ?

檻田

じゃあ、
少し甘味取りに行ってくるよ

憂叉

主、噛ませ犬お疲れさまでした

檻田

そういう事、
思っても言わないでくれるかい?

従うか、抗うか

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