床に広がっているのは、家族のアルバム。テレビ台の扉も開いている。でも、他に何かが開けられた様子はない。
で、何をしてたのかな?
あー……。
床に広がっているのは、家族のアルバム。テレビ台の扉も開いている。でも、他に何かが開けられた様子はない。
人の家の戸棚とか勝手に開けちゃダメって教わったでしょ? まず断ってよ。
……。
でも……なんでアルバム?
うちのアルバムには、凜音ちゃんや之愛さんの写真はほとんどない。あったとしても、ただのアルバムは小学生にとって退屈だろう。それでも、部屋の他のものが漁られた形跡は見当たらなかった。まるで、最初からアルバムそのものが目的だったような。
アルバムを漁る理由……。
もしかして。
エクストリーム・へそくり探し!?
違う! へそくりは額縁の裏!
えっ。
お茶のトレイを下ろし、言われるままに壁の額縁をめくる。果たしてそこには、いかにもお札の入っていそうな封筒が貼り付いていた。
わーすごい! 本当にあった――
じゃーなーくーてー! なんでアルバム見てたの!? なんでへそくり場所知ってるの!?
あたしが隠したから。
はぁ?
どこの小学生が隣家にへそくりを隠すのだろう。
周音、全部話すから。落ち着いて聞いて。
いやもう何がなんだか……。
あたしは、凜音であると同時に、あなたの母親の巡海でもあるってこと。
えっと、それは。
「アイムユアファーザー」
「ノオオオオ!」
ってやつ?
落ち着いて聞け!
それ小学校で流行ってるの?
前前前世ごっこ?
落ち着けってば!
ごめんねーあまねーちゃん流行に疎くてノリきれなかったよー。
……いたしかたない。
わずかな時間の後、凜音ちゃんの唇が開いた。
♪~
え……!?