姫様は、もういいんデスか?

ああ。一応姫様だし、長居も悪いと思ってさ

……無事に終わったみたいデスね

ああっ

…………

……ありがとな

……!?

身分が違う存在に生まれ変わっても、律歌を見守っていてくれて

……今の僕にはそれしかできません。身分違いの僕が正体を話して変に動揺させるわけにもいきませんし

そういうのは寧ろ話した方がいいと思うぜ。さっきの感じだと、できる限り姫の様子を見守ってるんだろ?タイミングくらいは掴めるはずさ

…………律歌がこれから進むのは、一人で抱えるには重すぎる難題ばかりだ。平民の俺じゃ肝心な時に傍にいてやることができない

だから俺の代わりに……律歌を頼む

…………

……頼まれてくれるか?

…………

はい、義父さん

ありがとう。んじゃ、俺達も帰るか

……あれ?おばあさんは何処に?

エンヤァ~~~~!!!

待て待て待てぃ

おや、お帰りなさい。無事に指輪を渡せましたか?

それは大丈夫でしたけど、俺と別れた後何してたの?

エンダァで貴方の位置を見ながら城の中を探検してました。神父さんにも会えましたし、あとは私の出る幕もないだろうなと

……あの時、本当は庭にいたんですよね?

…………何のことでしょう

ちらっと見えたんですよ。娘を抱きしめた時に、遠くで見てる貴方の姿が

アンタが本当は誰なのかは分からずじまいだけど、俺と娘を合わせてくれたことにはとても感謝してる。ありがとう

…………

……そうよね、やっぱり分からないわよね

……?

ところで、貴方はこれからどうするのですか?姫様に指輪を渡せて一件落着ですが、貴方はここで生きていかなければいけないんですよ

そうだな、王都で仕事を見つけようと思ってます。少しでも娘と近くにいたいですから

では、私も便乗させてもらおうかしら

山姥が都会に下りるわけですか?

大事な『家族』を残して山に帰るのは嫌なので

家族と……か。なんか懐かしいです。律歌が一人暮らし始めてからは俺も一人で生活してました

懐かしい……そうかもしれません。ですが、私は今すごく安心していますよ

ああ、それ分かります。なんか変な感覚ですよね。元の鞘に収まるみたいで

……そうですね、不思議ですね

そういえば、すっかり聞きそびれてたけど、おばあさんの名前ってなんですか?

おや、教えてませんでしたか。そうですね私は―――

…………

『   』、です

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