休憩を終えて塔を登り出す。外から見た感じだと8階ぐらいだろう。最上階に妹さんがいなかったら、各階のフロア探しが始まる。

ミヤコ

ふう。ようやく5階かしら?

リーズン

まだ3階よ、ミヤコ!

 リーズンのツッコみが塔内に響く。

ミヤコ

あらあら。まだそのぐらいですか? リーズンさん。悪いんだけど、腰が痛くなったからもんでくれる?

リーズン

あっあなたねぇ……。肉体はどう見ても若いんだから、平気でしょう?

ミヤコ

まだ若い肉体に慣れていないのかしら?

リーズン

しょうがないおばーちゃんですわね。

 トテトテと、リーズンは肩と腰をマッサージしてくれた。うまい。気持ちよすぎて眠くなってきた。

 なんだかんだ言っても、雪の女王は優しい人だ。

リーズン

気持ちよくて?

ミヤコ

ふにゃふにゃ。ぐー。

リーズン

寝てますの、ミヤコ!

 耳元で大声を発せられたから意識が戻った。夢のなかで死んだ旦那が手招きしていた。川で鬼たちが「ヒーハー!」と踊っている、リアルな夢だった。

 危ない、危ない。

ミヤコ

あらごめんなさい。死んだ旦那の夢を見ちゃった。

リーズン

死にかけてますの? ミヤコ!

ミヤコ

あとでおばあちゃんとお買い物行きましょうね。なんでも好きな物買ってあげるから。

リーズン

しっかりするのよ、ミヤコ!

 マッサージが終わり、階段を上っていく。

ミヤコ

やっと6階ね。

リーズン

まだ4階ですわよ。もー。いちいち休んでいたら時間がありませんわ。

ミヤコ

あわてなくても、妹さんは逃げはしませんよ。今度は太ももをもんでください。

リーズン

みぃやぁこぉぉぉぉっ!

 うなったあと、リーズンはあきらめ顔で太ももをもんでくれた。やっぱりうまい。頭はアレだれど、才能はある。

リーズン

お年寄りの介護は本当に大変ですわ。……えっ?

 リーズンは変な空気を感じた。外は寒いが、なかは暖かかった。それなのに、急に体温が低くなっている。

リーズン

おかしいですわね? きゃ!

 壁が突き破られた。がれきを踏み潰し、白くて大きな何かがやってくる。リーズンたちを見つけると、大きく口を開けた。

魔物

うがああああああああああっ!!!!

 ほえる。走ってこちらにやってくる。襲いかかってくる!

リーズン

魔物がどうして神聖な塔に!? まずいですわ! 魔法を発動させる時間がない! 逃げましょう、ミヤコ!

ミヤコ

ふごー

リーズン

寝てますのねぇ!! ほんと苦労するババアですわ!!

 リーズンはミヤコをせおって魔物から逃げる。ドタドタと追いかけてきた。目的はやはり餌か。

ミヤコ

そんなに強引にひっぱっちゃ嫌ですよ。お父さん。

リーズン

死ぬんじゃないわよっ! ミヤコォォォォォ!

 仲間はすでに死にかけていた。

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