桜子ちゃんは、わたしといるのが嫌?

そんなことない!

わ、わたしと一緒にいたいって思う?

……うん

なら、転生なんてどうでもいいじゃない

それは……。
でも、桜子がいなくなるわけじゃない。

転生についてちょっと勉強したいだけ

…本当?

あぁ。桜子は絶対にいなくならないよ

…やっぱり、桜子ちゃんって男の子みたいね

えっ、いや~…

わたし昔から身体が弱くてあまり遊べなくて、友達も全然出来なくて、一人でいることが多かったけど

桜子ちゃんはそんなわたしに優しくしてくれて、色んなものを見せてくれたわ

友達だとも、言ってくれた

あっ、もちろん麗花ちゃんも言ってくれて、とても嬉しかったの

 何気なく麗花を見ると、申し訳なさそうな、複雑な表情を浮かべていた。

 俺もとりあえずは微笑んでいたが、内心は麗花と同じものだと思う。

 碧が見ている桜子と麗花は実際、偽物なのだ。

わたしは二人が好き。

……

二人がこんないい人たちだとは知らなかったわ

……碧

たまに碧呼びになるよね、桜子ちゃん

……えと

わたしはそう呼んでくれる時の方が好きだわ

これが本当の桜子ちゃんのような気がして

……桜子ちゃん、わたしね、そんな桜子ちゃんが――

――違うよ。

……違う?

それが、嘘なんだって

……え?

――碧、約束してくれ

本当の桜子と麗花が戻ってきたら、今度は碧から友達になってあげてな

ほん……とうの…?

今は意味わかんねぇかもしれねぇけど、そのうち桜子と麗花が説明してくれるさ

……?

…全然、意味わからないよ。…でも、約束する

おう

 俺と碧は指切りをした。

……帰るか、碧

うん

――麗花ちゃんも

うえっ!?

さすがに気付くよ

全然ダメじゃねぇか……

 麗花はベンチの裏からそーっと出る。

 碧はそんな麗花の手をとり、もう片方の手で俺の手もとった。

なんだか二人って安心感あるな。お父さんとお母さんみたいな

ギクッ

ギクッ

…なんてね

 こうして帰り道は、三人手をつないで帰ったのだった。

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