そろそろだろうか。
今頃彼は自分の中に潜む欲求を解放させているころだろうか。
そろそろだろうか。
今頃彼は自分の中に潜む欲求を解放させているころだろうか。
今の自分にそれを確かめる手段はない。いつか現れるはずなのだから。その時に一目見れればいい。
今日までそのためだけに生きてきた。
私を認めなかった人間たちへの報復を成し遂げる。
まだ50%といったところだろうか。いつか100%になった時に彼は来てくれる。そう信じている。
あれから何件かの殺人事件が続いた。
被害者はの共通点を一言でいえば全員はぐれ者だということだ。
その中には前科のある者もいた。
殺されても誰にも同情ることのない者たちだった。
杉本薫、こいつは何者なんだ
数日前から行方不明になっている少年。
彼について調べたところ彼が交通事故に遭ってからの情報があまりにも少ないことに違和感を覚えた。
分かったことは彼が事故に遭ったこと。
緊急手術で一命をとりとめたこと。
肉付きのない事実だけでそれ以上のことはわからなかった。
この少年を追う。それしかないか
その日俺は過去の事件のファイルが所蔵されている書庫に来ていた。
俺は知っていた。何人ものならず者の命を奪った犯人を。消えたと思っていた。しかしまた現れた。
現れてくれた。今度こそあの悪魔を捕まえる。
たとえこの命に代えても。
でないと、浮かばれないよ
気が付いたら目の前に人が形を変えて倒れている。何度もそんなことがあった。
不思議と驚かなかったことに驚いている。
それは自分でない者の存在を自覚していたから。
そいつの力が頼もしかったから。
何より楽しかった。
狂犬のような眼を剥きとびかかってくる奴がいつの間にか子猫のような瞳を浮かべていることが。
今日はこれまでか、僕は寝るから後はよろしく
そういって高柳は眠りにつく
自分である時は眼鏡をかける。それが彼が眠る合図だ。
数日前は抵抗があったけれど彼の言葉に納得してしまった。
「君は楽しかったはずだ、実際に快感を感じたはずだ」
「彼女、菜月ちゃんだっけ。彼女の救出なんて忘れて楽しんでいたじゃないか」
「わかる、わかる。君は楽しいと感じたんだから。俺もそうだ。でも僕がもっと面白くしてあげる」
「俺たちは一心同体だ」