コミュ祥子は、ストリエの使い方を覚えようとしていた。だが、ストリエを使ってみるたびにクソ野郎が現れる。

コミュ祥子

あー、クソ野郎は今度こそ現れねーよな。

クソ野郎

甘く見てもらっては困る!
祭りの場であろうと、私は登場するぞ!

コミュ祥子

マジでクソうぜー。勘弁してくれよもう。

クソ野郎

キミがストリエの使い方をマスターするまで!
僕はキミを罵倒するのをやめない!

コミュ祥子

ちくしょー!逃げろー

祭囃子がぴーひゃららと鳴る中、
コミュ祥子はひたすら走って逃げた。

コミュ祥子

ハアハア!超つかれるー!

気がつくと、コミュ祥子は、日本庭園にいた。
あたりは和風で、とりあえず静かだった。
静かなのは、とてもいいことだ。
日本はどこに行ってもうるさい。
ああ、いいことだ。いいことだ。

コミュ祥子

どうだ!和風の庭園に来たぞ!
あのクソ野郎は
こんな静かで落ち着いたところまで追っては
こないだろう!

コミュ祥子

やばい!何か空間に裂け目が!

クソ野郎

私だ!
このキイインは、刀を打ち合う効果音だ
バカ者め!
まあ、いい。
私はこのキイインを空間の裂け目として
ワープしてきた。

コミュ祥子

ちくしょー!クソ野郎がまた出てきたー!
なんかわけわかんねー
こと言ってやがるー!
さらに逃げっぞ!

コミュ祥子は、なおも逃げた。
人生とは逃げることの連続である。そういうものだ。

気がつくと、コミュ祥子は教会の前にいた。

コミュ祥子

くそ、なんかこう、写真風の背景だと
文字がやや見にくい!
頑張って目立たせないと
ちょっと読みにくいな!

コミュ祥子

さあ、教会の前に来たぞ。
さすがに今度こそ、クソ野郎は
まさかここまでは追ってこれないだろう。

コミュ祥子が、教会の前でほっと一息ついたその瞬間、
教会の中から怪しい声が聞こえてきた。
ああ、なんてことだ。なんてことだ。

怪しい声

悔い改めよ!

コミュ祥子

や、やばい!なんか怪しい声が聞こえるー!

教会の重い扉が開く。
コミュ祥子は、疲労が蓄積しているため動けない。

怪しい声

悔い改めよ!

コミュ祥子

声が近づいてくるー!
ちくしょー!
逃げられないのか!
この世に逃げ場所はないのかー!

有名プロデューサー

悔い改めよ!
うんいい歌詞できた!
これでまたミリオンだな!
お、キミ、コミュ障っぽくてかわいいね!
アイドルにならない?

教会から出てきたのは、
アイドルプロデュースが得意な
有名プロデューサーだった。

コミュ祥子

誰だテメーわ!

コミュ祥子

ちくしょう!びびって
損したじゃねーか!

有名プロデューサー

おやおや。私を知らないのかね。
私は…

プロデューサーがびりびりと自分の顔のマスクをはがす!そこに現れたのは!

クソ野郎

私だ!どこまでも追うぞ!

コミュ祥子

やっぱりテメーかよ!

コミュ祥子

うぜー!どこまでも追ってきて
うぜー!
何なんですか?あんたは!

クソ野郎

貴様!まだ分からないのか!
私はな!

クソ野郎がメガネをはずした!
その顔はなんと!

コミュ祥子

お、お前は!

コミュ祥吉

お兄ちゃんだよ!

なんということか。
クソ野郎の正体は、コミュ祥子の実の兄、
コミュ祥吉だった。
きょうだい揃って、ひどい名前だ。

コミュ祥子

お、お兄ちゃん!

コミュ祥子

もー!脅かさないでよー!
どこのメガネ変質者かと
思っちゃったじゃない!
プンプン!

コミュ祥吉

祥子が、ちゃんとストリエの使い方を
理解しているか心配だったんだよ!

コミュ祥吉

一通り色々やってみて
使い方は理解できたかな?

コミュ祥子

うん、分かったよ!だいぶ理解できた!
お兄ちゃんありがとう!
このシスコン~♪

コミュ祥吉

はっはっは!
よーし、今日は帰ったらハンバーグだな!

こうして、コミュ祥子とコミュ祥吉は仲睦まじい様子で一緒に家に帰っていった。
仲良きことは美しいかな。きょうだいの仲が良いことは良いことだ。
めでたし。めでたし。

そして俺は、コミュ祥子からもとの自分に
戻ったのだった。

すごい転生ぶりだった。
やばかった。
こうして俺はストリエの機能を理解した。
だが人生は、まだまだ理解できないことばかりだ。
俺の模索は続く。

以上をもって、この物語は終了となる。
だが、人生は続く。謎のクソ野郎に追われないように
各々抜かりなく。

コミュ祥子が罵倒されながらストリエの使い方を覚える 第3話(最終話)

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