あっ……ちょっと苦しそう…
大丈夫?
けほっ……殺す気か…。
あー、いや、前言撤回
これは、効く
羽根に浸透する…。
羽根?
羽根
羽根
おかしいこと言ったか?
自称人間だったのに
まあ人間には憧れてるけど
昔の俺は痛々しい奴だったのか?
いつ、妖精だって自覚したの?
は?
いつって、俺は初めから妖精だけど
妖精なの?
なんだその疑いの目は
羽根……
これでいいか?
本当にグレイルくんなの?
存在さえも否定され始めたんだが
う、ううん……
こっちが、本当のグレイルくん……?
何言ってんだこいつ
うるさいわね
自称人間の妖精が
記憶喪失になって
いきなり
自称妖精の妖精に
なられても困るのよ
前より遠慮ない性格しやがって
聞こえてる聞こえてる
でも、俺は鑑の妖精だ
物事を理想に近付ける、模範に近付ける
または修復・修繕をする
――そういう、鑑の妖精。
もうね、違和感しかない♪
私だけが、普通の人間じゃない
……俺は、本当に
人間自称してたんだな
そう。自称人間
それでいて、それにちょっと救われていたから、なんだか、なぁ……?
なんか、ごめん
私こそ、ちょっと我儘言ったわね
……うん
私は、吸血鬼だろうと、妖精だろうと、
信じるし、大好きになりたいから大丈夫
やっぱり怖いことには怖いな
でも、
約束したんだから余裕なの
!!
良く分からないけど、
その考え、死ぬほど嬉しい
……
そっか、それは嬉しいな
貴方と、約束したんだけどな
繰り返しになるけど。
記憶喪失なのに
よく自分が妖精ってわかったわね?
記憶喪失でも、
自分が何者かとか、
言葉ぐらいは覚えている
ニオミヤの顔と、
ヴィクターJr.であろう人の姿は覚えてた
なにそれ、うれしい
まあ、あの綺麗な堕天使も
勿論覚えてたのよね?
堕天使?
あ、
あの記憶を返すとか言ってた黒髪美人?
え、なんで忘れてるの…?
また可笑しいこと言ったのか?
うん。グレイルくん。
覚えている記憶が、
可笑しい、と、思うの。
可笑しい…?
だって、
ずっと一緒にいた人を忘れて、
ほとんどあったばかりの人を
覚えているだなんて――
黒髪美人と、
ずっと一緒にいたのか?
あっ、
金髪美少女がよかったから、
記憶から飛んじゃったのかしら♪
いや、好きだからこそ、
忘れるってことも…
俺、黒髪美人って見た目好きだし
なぁに?
金髪碧眼美少女ガ
好キデス
よろしい
お前、本当にいい性格してるな…?