15.そして「涙」になる

お父さん

…本当に良いのか?
おまえはもう…”雫”には戻れないぞ?

霧雨 雫

うん。

 最初、お父さんは私のお願いを拒んだが、私の”決意”に負け、了承してくれた。
 研究室に行った後も、何回か本当に良いのかと聞かれたが、私の決意は固い。

お父さん

…それじゃあ、始めるぞ。

霧雨 雫

…さようなら…”雫”。

お父さん

…終わったぞ。

 …あれから、私は麻酔で眠っていたようだ。
 ちゃんと…”涙”になれたかな。

 私は鏡を見た。
 その姿は…まさしく涙に近かった。
 これで…。

 私が“涙“だ。

~5年後~

霧雨 雫(涙)

…。

お父さん

…今日で最後のメンテナンスは終了だ。
最後の薬もちゃんと飲むんだぞ。

 私は月に一度、涙の姿を維持するためにメンテナンスをしてもらっていた。
 あれから5年…今日で最後のメンテナンスだ。
 鏡を見つめたまま…天国にいるであろう”涙”に言った。

霧雨 雫(涙)

…私が”涙”の分まで幸せになるね。

ー続く

428(作者)

先週、投稿出来ずに申し訳ございませんでした。
”隣の暗殺者”を楽しみに読んでくださっている読者様、本当に感謝しております。
できるだけ、更新日に間に合わせますので、どうぞこれからも応援してくださると幸いです。

pagetop