まあ、いいよ。

この際、全部話す

俺にとっての不幸話だ。

番人さんにとって蜜の味、かも知れないね

……ついに、ついに完成した…!

その眼は血走っていて、それでいて、

溢れる多好感は狂気に似ていた。


私の眼をまっすぐに見る。

やはり、歪んでいる眼。
それでいて、透き通った眼だ

彼は嬉しいようだ。
それは、良かった。嬉しいのなら良かった。

貴方は、誰ですか。

そう、何も知らない。
だから、何かを教えて欲しい。


この人は可笑しい人だ。

それは、分かる。



でも、この人は私がいることで、
よろこんでいるのなら

それで、良いのではないだろうか。



私は、彼に生み出されたのだ


それなら、
彼が喜ぶことをするべき
彼の思うままに動く事、それが全て



――それが、私の「幸福」であり、
「存在意義」


心臓にも、頭脳にも、全身にも、
切刻まれている自身の衝動、運命。



疑問など必要ない
それが、幸福だから幸福になるように
作られている存在が、私だ。

私は、

君は、神だ。


君は――この世界に舞い降りた、僕達の希望だ。

そして、その姿は
私の息子によく似ている

彼は、静かに涙を流した。

そして、私を抱き締める。


彼の肩が、心臓が、全身が、震えていて、
思わず包み込んだ。


血が穏やかに流れている。
体温がある。温かい。

ふと、後ろから聞こえる歪な音。

何の、音、ですか。

ああ!

あれは失敗作が、失敗作を壊してる音だ。

!?

心配しないでもいい。
神である君は、あんなことはさせないから

穏やかに、優しく微笑む彼。



『失敗作を、壊す。』


その言葉の意味ぐらい
理解出来たけれど


それに触れるのは
彼が悲しむだろうから止めた

私は、彼に作り出された。
そんな親に必要とされていることは、
最高の幸福である。



だから、




彼を失う事は勿論、

彼に嫌われることが
死ぬ事よりも恐怖に感じた。

盗むは、花より毒の蜂⑤

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