シャドーは2体いた。

その内の1体を矢島が倒して安心したのか、

もう1体いることには気づかずに、

敬介は美咲から離れてしまった。

その隙を突いたのか、

残っていたもう1体が、

敬介の背後から襲い掛かる。

自己防衛のための力を習っていたにもかかわらず、

とっさには使うことができなかった。

しかし、美咲の光術により救われる。

敬介君。
美咲ちゃんから離れちゃダメだ!!
助けるのが少しでも遅れたら……。
君は死んでたんだぞ。

敬介の傍まで駆け寄った矢島が怒り気味にいう。

美咲も敬介の傍までやってくる。

形山君。
いきなり動き出すからびっくりしたよ。
もう……

少し疲れ気味になっている美咲はため息をはいた。

すいません……。
ん?天野さん?
その背中のって……。

美咲の背中に、

何かあることに気づいた敬介は弓以上に驚く。

その背中には、

鮮やかに光る綺麗な翼が生えていた。

この翼のことね。
これは、
"天之翼(あまのつばさ)"っていって、
私の光術よ。

その翼をパタパタとさせて敬介に見せてくる。

すごい綺麗……。
それに矢島さんも、
あんなカッコいい弓を出せるなんて。
やっぱり光術はすごい!!

目の輝きが先程までとはまったく違う。

ついさっき殺されかけた人間の反応とは思えない。

精神的には、

ある意味成長しているということなのだろうか。

矢島と美咲はそれぞれの光術を解いた。

辺りが少しだけ暗くなったように感じる。

いいかい、敬介君。
中級の修行ではいかなる状況でも、
自己防衛が使えるようになる訓練をしようと思っていたんだ。
今回、
君はとっさに自己防衛が使えなかった。
これは本当に死を意味する。
これができなければ、
光術士になるのは諦めてもらうしかない。
早急にできるようになってもらうために、
明日の夜テストをする。
自分でも練習しておいてくれ。

それだけいって、矢島は手を振り帰っていった。

そんな……。

急なテスト、

それにできなかったら、

光術士になることを諦めなければいけない。

自己防衛ってそれだけ大事なことなの。
光一さんも真面目な人だから、
テストのことは分かってあげてね。
私も修行付き合うから、
一緒に頑張ろう。

そう言いながら、

大丈夫、大丈夫と胸の前で両手拳を振ってみせる。

うん、頼むよ。
天野さん。

敬介もやるしかないということで、

またもヤル気になる。

そして、

かなり遅くなっているのもあり、

二人も帰ることにした。

第1章-力の目覚め編-(21話)-油断-

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