敬介は自分がシャドーに襲われたのをきっかけに、
自分も誰かを守りたいと思った。
敬介は自分がシャドーに襲われたのをきっかけに、
自分も誰かを守りたいと思った。
そして、
美咲と共に"先生"と呼ばれる人物に会うため、
ある所へと向かっていた。
天野さん。
その"先生"ってのは一体どんな人なの?
どんな人か……。
かなり大雑把な人だとは思うなぁ。
それを聞いた敬介もなかなかしっくりときてない様子。
まぁ、会えば分かると思うよ。
形山君にも色々話したけど、
私もまだ先生から教えてもらってない事だらけなんだよね。
そうなんだ。
それで、今はどこに向かってるの?
苦笑いの美咲を見る限り、
その先生はたいしたことないんじゃないか
と少し不安になった。
その人に会って本当に大丈夫だろうか。
地元だから知ってると思うんだけど、
秋野実(あきのみ)神社に向かってるよ。
そこで先生に会えるの。
途中から敬介の前を歩いていた美咲が
軽く振り替えリ気味に答えた。
その神社なら小さい頃によく遊んでたなぁ。
そこから敬介がどんな子供だったのか美咲に尋ねられ、
色々答えているうちに
少しずつ目的の秋野実神社に近づいていった。
ここは、
楽坂公園から徒歩20分くらいのところに位置する
秋野実神社。
少し小高い位置にある神社のため、
境内に入るまでには、
100段程の石段を上らなければならない。
石段の両脇には木が植えられていて、
なかなか雰囲気のある入り口となっている。
今、敬介と美咲はその石段の70段目辺りを上っていた。
誰も来てないね。
まぁ、時期的に神社に来る感じでもないもんな。
そうだね。
でもむしろそのほうが都合いいの。
人がいっぱいいると先生なかなか出てきてくれないの。
その先生は極度の人見知りなのだろうか。
敬介の中でその先生へのイメージが
どんどん頼りない感じになっていく。
そして、そろそろ境内が見えてきた。
さて、そろそろ着くかな。
よっと!
おー、懐かしい景色だ。
最後の数段をジャンプで飛び越え、
頂上に着いた。
正面には小さめの拝殿、
右側には手水舎、左側には絵馬掛がある。
ふぅ。
やっぱり石段を登ると少し疲れるね。
ようやく到着。
美咲も少し遅れて到着した。
では、呼びますか。
せんせー、美咲です。
出てきてくださーい!!
え?!
そんな感じで呼ぶの?
なぜか思っていたような会い方ではないので驚いた。
ペットを呼ぶような、そんな感じにも思えていた。
先生って本当に何者なんだろうか。
敬介が考えるのはそればかり。
そして、
美咲の呼びかけに答える者はいなく、
ただ時間だけが2分、3分と過ぎていく。
あれー?
先生いないのかな?
境内をぐるぐる見て回る美咲だが、
それらしき人影はないようだった。
敬介は、さすがにあんな呼び方では
出てこないだろうと思っていた。
すると、美咲がこっちを見て叫んだ。
もう。
先生出てくるの遅いですよ!!
そういいながら駆け寄ってくる美咲。
上ってきた石段に、
背を向けるような形で立っていた敬介は、
後ろを振り返った。
しかし、誰もいない。
あれ?
そういって、再び拝殿の方に向き直った。
よお!
うわぁぁぁっ!!
向き直った瞬間、
目の前には敬介より5cm程背の高い
180cmくらいの長身の男が立っていて、
脅かすように声をかけてきた。
急な登場にびびった敬介は思わず声を上げ、
その場に尻餅をついてしまった。
もう、先生!
やめてくださいよ!!
形山君がびっくりしてるじゃないですか!!
敬介の元に戻ってきた美咲がその男に怒った。
こいつが……先生だって?
疑いの気持ちがどんどん積もっていく。
お前が美咲の言ってた、
シャドーに狙われてた小僧だな。
それだけ言って、急に笑い出した。
一体、何がそんなに面白いのだろうか。