――遠い未来の。
――遠い星で。
――それは始まっていた。
これは
ミナミがアストロアイドルを
始める前のお話。
* アストロアイドルステーション *
中心区
AIステーションでもっとも賑わう
この中心区には
様々な学術施設が立ち並ぶ。
そして、
その施設のうちの一つであり、
このステーションが存在する
最たる理由でもある施設。
それがこの……。
* アストロアイドル *
アカデミー
てくてく
てくてく
てくてく
てくてく
てくてく
ここが
アストロアイドルアカデミーね。
そうだよ、ミナミ。
どうだい、アカデミーを前にした感想は?
ズイブンと荘厳な家構えね……。
そりゃそうさ。
ここには、アストロアイドルと臨床R-クローン学の知識が全て集まっていると言っても過言ではないからね。
へ……へぇ〜
さあ、ミナミ。
今日から頑張って
ここでアストロアイドルの勉強をするんだよ。
うぅ……頭が……痛い……。
どうしたんだい、ミナミ?
大丈夫か?
勉強という単語を聞くと、脳が拒絶反応している気がするのだ。
ミ・ナ・ミ・ィ?
てへぺろ〜
じゃあ、行ってくるね、ナギお兄ちゃん。
行ってらっしゃい。
お夕飯は木星見団子のフルコースにしてね!
ああ、わかったよ。
校舎へと向かう
少女の背中を見送るナギ。
その眼差しはどこか物悲しげだ。
……。
木星見団子の
フルコースゥ!?
第1話 入学の日
えーっと、ミナミの席はどこかしら。……。
!!!
それにしても、随分見晴らしがいい教室なのだ。
何だ貴様は?
机の一つも無いとは……。
さっそく事件のニオイがするわね。
答えろ!
貴様は何者だ!?
む、容疑者発見!
名乗るほどのものではない!
ミナミだ!
……名乗ってるじゃないか。
犯人はこの中にいる!
ハァ?
えーと……。
アナタ、お名前は?
名前を聞いておいて
名乗らんわけにはいかんな。
私の名はライアだ。
未来のトップアストロアイドルだ。
ライアって言うのね?
ああ。
で、ミナミとやら。
なぜ貴様はここに来たのだ?
愚問!
む?
ミナミはトップアストロアイドルになるため、ここに来たのだ!
なるほど……。
では、私のライバルというわけだな。
しかし、それもここまで。
ハァ?
ライアはここで脱落してしまうのだ。
一体何を言っているんだ?
ミナミとやらは。
教室の机を全て消した犯の
容疑者ライア!
逮捕する!!
な、なんだとぉ!!!
ドタバタ! ドタバタ!
容疑者確保ォ!
クッ……
こんなところで捕まるわけには……
なんでやったのだ?
正直に吐くのだ!
……それが……。
私にも良く分からず……。
私がここへ来た時には
既に机は無かったのだ……。
……え?
頼む、信じてくれ。
それは悪かったのだ。
これは誤認逮捕なのだ。
……ありがとう……。
信じてくれて……。
当然なのだ。
……とでも言うと思うか!!!
な……。
なぜ私が貴様などに
逮捕されなければならんのだ!!!
そりゃ当然!
この鬱憤、はらさでおくべきか!
受けて立つ!
む!
この!
どうだ!
まだまだぁ!!
……なかなか……
…やるじゃ…ないか……
ミナミ……。
ライアも強いのだ。
こんな強い娘は初めてなのだ。
今日のところは……
これで勘弁してやる。
それはこっちの台詞なのだ。
また明日会おう。
そして、今度こそ決着をつけよう。
わかったのだ。
望むところなのだ。
ふふふ……
ふふふ……
すっかり日が暮れてしまったな。
そうね。
帰るとするか。
じゃあな、ミナミ。
また明日なのだ、ライア!
しかし、なぜ他の生徒は教室に来なかったのだ?まさか、我々二人しか生徒がいないのか?
こうして、
ライバルとなる二人は
出会ったのだった。
はい。
はい。
はい、スミマセン。
ミナミが
初日からバックレとは……。
……ナギの心配をよそに。