これで、やっと姫の元へ…

姫は、外に出たくないのです。
お引き取り願えますか

そんなわけがない!!

姫は、悪王とその番人に捕えられてんだ!!

―――――――そう、ですか。

ぐっ……な、なんだこれ……
手が、眼を……嫌だ、やめ……ッ!!

私が、その番人ですが何か

誰かが、言い始めました。

姫は、囚われの姫だと。



しかし、知っているのです。





彼女は自由など一切求めていない。

外に出て、魔物や人間に
酷い事をされた彼女。


求めているのは、安心と、虚無。

ですが、偽善者達は群がるのです。

「彼女を救うのは自分だ」
「番人を殺して救ってみせる」と。



そして、私を悪と判断して
殺したがる人間も多くいました。



でも、それでも、姫を助けたいという
気持ちは人一番強い良い人達でした

しかし、それは姫にとっては不快な者。


ですから、間引くのが私のお仕事です

私は、歪朽の呪を持つ番人。


死に至る呪いであるにも関わらず、
この呪いで私は死なない悪魔の子。





そして、この呪いは伝染します。


つまり、この悪魔にとっては
人を死に至らしめることなど容易なのです。

見つけた。
君を連れ出しに来たよ。

人違いです。
姫はこの奥ですから。

え? 合ってるから大丈夫。

いえ、姫はこの奥ですが。

その前に私を倒せればの話ですけれど

ああ、それは難しい話だ

キミを持ってきたいんだから。

馬鹿ですか。

失礼な人だなぁ?

私を誰か、分かってるのですか。

ある程度ならな。


歪禍の呪を持つ番人。


近くにいるだけで、人を呪い殺してしまう。
最凶の番人ってぐらいなら、

ああ、分かっているのですね

お帰り下さい。

しがない怪盗は手ぶらでは帰らないよ☆

何この人、うざいです

君はずっと此処にいたいんだ?

此処なら、誰も傷付かなくて済む。

私は、姫を守れるだけでしあわせです。

……ああ、そう

苦しそうだと思ったけど、
それは偽善だったんだな?

苦しそう?

姫がですか。

なんで姫ばっかなんだ

お前の話してんだから、
お前の事聞いてんだけど

番人の心配とは。
奇特な方ですね

そして、もうすぐ危篤にもなります

お前が言うと、本当に殺されそうなんでやめろ


で。どっち?

偽善です。
私は、存在自体が死ぬべき存在だったのです。

ですが、姫の為に
人を殺す事を与えられました

人の為になれることがしあわせです。

ふぅん?

それは、まだ、もっとしあわせになっていいと思うんだけどな

はい? 何なのですか。

ああ、好きな食べ物はある?

そんな物、必要ありません。

じゃあ、趣味とか

そんな物、必要ありません。

好きな曲、

良い加減にしてくれませんか

怒られた☆

殺されたいのですね?

殺される☆

もういいです

しがない偽善者には、君がそれで
本当にしあわせなのか分からないんだよ

では、言いましょうか。

やっと、人の為になることが出来た私の居場所

どうか、取らないで下さい。

ふぅん…?
楽しくないなぁ…

ちょっと意地悪な質問するからな

苛立たせたら、悪い

現在進行形で不快なのですが

無音で騒がしくしないで下さい

まあ、こっからが質問なわけですが――

人を傷付ける事が嫌いなのに

人を傷付ける事を仕事にして、
守るという大義名分を得てるだけ

実際には、人を傷付けてる仕事だ。

――楽しい?
しあわせなのか?

……やめてください。

……へぇ、そう、

…………また、明日、来る。

帰れ

今日は帰りますよーっと

あ。怪盗なのに、何も盗らないで帰るのですか。

なんでこう煽るかなー?

ああ!お姫様盗んでいいんだ?

はーい、喜んでー。

殺します。

命が欲しいから、また明日

盗むは、花より毒の蜂①

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