邂逅?
なんか変なのが穴からワサワサ出てくるし
邂逅?
なんか変なのが穴からワサワサ出てくるし
いや~
年寄りには堪えるのぉ
最後にうちのパパと同世代な感じのおじさんが出てきた。
トレジャーハンターってことは、あいつの息子か!
って、パパが言ってたのを思い出した。
もしかして、戸籍上は53歳、田中海爾という海尊か?
そういえば、うっすらと覚えてるかも。この鬱陶しいノリのオヤジ。
嫌なこと思い出した……。
ウチの大事な殿に群がる浅ましいおなごの分際で……。
って、前世で言われた気がする。
まじで変わってないし……。
弁慶はあそこまで変わったって言うのに……。
↓ 弁慶
佐助お兄ちゃん、ただいま。
どこも怪我してないか? 具合悪いとことかないか? 大丈夫だったか? クソ親父と経次郎はあてになんないからな。
どこも悪くないし、
経次郎お兄ちゃんも優しかったよ。
あいつはどうでもいいんだよ。
大丈夫だよ。
もふもふオリハルコンも観れたし。
そうか、よかったな。
もふもふは違うと思うが……。
お帰り、慶子。
1カ月も会えなくて、兄ちゃん寂しかったぞ。
変わりすぎってか、
先生もネコ可愛がりしすぎ……。
口を慎め!
殿に向かってなんという口の利き方だ!!
って、私には言うくせに、
佐助お兄ちゃん。
って、マジで誰だよ。
…………。
2番目に出てきた女の子が、私をじっとみていた。
?
おぬし、桜の精霊を連れているか?
その子は私を見て言った。
え?
はいは~いw
出てきた……。
季節外れな……。
桜の精霊たちを見て、嬉しそうな顔をした。
この子たちが見えるんだ……。
なんか、そういう感じするかも。
自然霊っていうか、付喪神っていうか。
人間の手が入っている感じの、でも、とても大きな、はるか昔からあるような……。
悠久の時を過ごしてきたような……。
そんな感じがした。
でも、なんか、この感じ、
知ってる気がする?
まあ、いいか。
桜の花びらを
しおりにしたんです。
たくさん散った花びらが、カバンの中に入っていて、それを厚紙に貼ってしおりにしたら、いつでも桜の妖精がみえるようになった。
きゃいっ きゃいっ
見ますか?
そう言って、しおりを出そうとすると、
よいよい。
おぬしが持っていることは感じるでな。
そう言って、嬉しそうに桜の精霊を見ていた。
愛らしい子らだのぉ
えへへっ
えへへっ
なんか、この人自身も
かわいい感じがする。
おぬしが静香か?
はい。
なるほど、なるほど。
声をかけれぬわけじゃ。
ここまで清々しい空気を放っておれば、あのタコ次郎は逃げるじゃろう。
タコ次郎?
逃げてたわけじゃないです。
あ、こいつのこと?
やっぱり経次郎って名前、まだちゃんと馴染んでないな……。
好きな人の名前なのにな……。
おぬしも目だけは確かなようじゃ。
ありがとうございます……。
ヤツは複雑な顔をしていた。
じゃが、おぬしがそれに釣り合っているかどうかはわからんがの。
はぁ……。
頼りない声でヤツは言った。
この人は?
叢雲様だよ。
三種の神器の天叢雲剣の御霊なんだ。
はい?
剣の擬人化?
うむ。よろしゅうな。
静香とやら。
あ……はい。
よろしくおねがいします。
叢雲さまはニコニコしてて、とってもかわいい感じがした。
オリハルコンを探しに行ってたんじゃないの?
なんで三種の神器?
オリハルコンは、和名がヒヒイロカネって言って、天叢雲剣の原料なんだよ。
天叢雲剣があったのか?
聡士が食いつく。
ゲームしてるとそれで通じるわけ?
うん。
御霊だけ?
本体修理中。
直ったら見たいけど……。
見ない方がいいのかな?
さあ?
ボクは見たけど。
翔さんは
担いでたし。
翔さん?
あそこにいる天狗
経次郎が示したところにいた天狗が、先生と絡んでいた。
久しぶりのお天道様だ~。
ふざけたこと言ってんじゃねーぞ。
おっ
ちょっと見ない間に老けたねぇ。
前見た時は、こんなにちっちゃかったのに。
そう言って、翔とかいう天狗は人差し指と親指で先生の背丈らしきものを示した。
んなちっせーわけねーだろ。
指の隙間は5cmくらいだった。
おめーは全然
変わってねーな。
ちっとは背も伸びたぞ。
そか。
天狗なら平気そうだけど、ボクらは無理なんじゃないか?
それを見ていた聡士が言った。
まあ、けっこう修行してるみたいだし。
じゃ、いいよ。
そういう修行すんの、面倒くさそう。
だな。
なんなのよ。
もうちょっとシャキッとしなさいよ。
草薙剣と、天叢雲剣は
同じ剣なんですか?
聡士が叢雲様に聞いた。
薙子はわらわの妹じゃ。
双子の剣なので、大差はない。
叢雲さまが聡士に言う。
薙子?
へ~、すごいなぁ
何が?
歴史の謎の部分が、解明されたっていうか。そうなんだ、って感じだよね。
あっさりしすぎて信じられないけど、むしろだから信ぴょう性があるっていうか?
そろそろどこかで休みたいが。
そうですね。
翔とかいう天狗は先生を見る。
佐助、
家まで連れてけ。
車には俺も入れて5人しか乗れねーぞ。
親父と生徒どもは歩け。
翔はほっぽっとくと、どこ行くかわかんねーから連れていかねーと。
殿はお乗せせんか。
バカ息子が。
父さん、兄ちゃんにそれは効かないから。
ボクは静香と歩いて帰るよ。
おめーははじめから乗る方に入っとらん。
てか、お前のできたばかりの彼女って……。
静香だよ。
へー。
そう言いながら、先生は私を見た。
なんですか?
いや、
意外だなと思っただけだ。
え? 何が?
ボクらは電車で帰ります。
はい
ワシも電車で帰るとしよう。
そう言うと、海尊はスタスタと駅に向かった。
母さんも待ってるんだから
ちゃんと帰ってこいよ。
……。
海尊は振り返りもせず、手だけ振って歩いて行った。
1席余ったから、
乗せてやってもいいぞ。
先生は瑞穂にそう言った。
そうね。
それからみんなで先生の車までは一緒に行ったんだけど、なぜか瑞穂が助手席だった。