都 大樹

さあ、二人とも、ミヤコワスレを渡してもらおうか

都 大樹

桐谷、絶対にミヤコワスレを奪われるんじゃないぞ。奪われれば、帰れなくなる

う、うん…

都 大樹

ははは。だけど滑稽だよ。僕は、いや。正しくはついさっき消された僕だけど。僕はここ最近の君たちの様子をずっと見てたんだよ。もちろん、誰にもバレずに

都 大樹

それは嘘だな。だって、お前の仲間はいないはずだ。僕の友達なら、学校で僕といる時に絶対に気付く。僕の友達じゃなく、例えば偽物だったとしたら、そもそも僕のことは知らない。だから、お前が身を隠す場所がないじゃないか!!

都 大樹

確かに、初めはそうだった。一人で身を隠していたよ。けれど、すぐに仲間が現れた。それからはソイツとともにお前らを見ていたさ

そんな人、いる訳ない

都 大樹

ああ。そんな奴がいる訳ない

都 大樹

何を言っている? 都大樹、お前は知っているだろう。お前たちに存在を知られず、けれど記憶を取り戻した偽物を

そんな人がいたの?

都 大樹

そんなはずは...いや、まさか。綾瀬!?

都 大樹

ああ。綾瀬はお前からミヤコワスレを興味本位で盗んだが、偽物だったから記憶を取り戻しただけで消えてはいない。そしてお前は、勝手に綾瀬が消えたと勘違いしていたな。幸い、綾瀬の家は学校の裏の一番高いマンションにあったからな。実に滑稽だったよ。綾瀬が消えたと安心しきったお前の顔をそこから見るとな

都 大樹

そうだったのか…けどもうそんなことは関係ない! 桐谷、すぐにミヤコワスレで向こうへ戻るぞ!!

あ、ちょっ

都 大樹

遅い!!

大樹、危ない!!

都 大樹

桐谷!? 僕を庇って...おい、桐谷を離せ!!

都 大樹

くくく…

都 大樹

何が可笑しい?

都 大樹

おいおいこいつ。ミヤコワスレを持っていないじゃないか

都 大樹

何故お前が桐谷を?

都 大樹

さあな。理屈は知らないが、何かにぶつかったと思ったら目の前に倒れていた。一度触れれば見えるんじゃないか? あるいは、お前と同じ姿の俺にだからこそかもしれないが

都 大樹

く。なあ桐谷、嘘だよな? ミヤコワスレ、本当は何処かに隠しているんだろ?

・・・

都 大樹

何で…嘘なんか

都 大樹

後悔はよそでやってくれ。まずは、一人目!!

都 大樹

桐谷ーー!

た、大樹…何で?

都 大樹

お前、そんなことしたら自分が帰れなくなるんだぞ?

大樹、何で私なんかに最後の一本を? ああ、駄目。大樹、大樹!?

都 大樹

くそ。それにまだ木五倍子を隠していたとは。まあいい、これでお前はこの世界に一人きりだ。はは、ざまあ…みろ

偽物の体は、その言葉を残して消えた。

都 大樹

もう、お前と会うことは無いさ。じゃあな。それが美樹ちゃんにもらった最後の一本だ

ねえ、大樹。偽物は消せたけど、これじゃ大樹が一人に! ああ、私の体まで、こんな…

都 大樹

ごめん桐谷…でも、これが俺の望みなんだ。だからさ、最後のわがまま聞いてくれよ

嫌だよ。私は、私たちは大樹と一緒にいたいの。誰か一人でもかけちゃだめなの! だから! …大樹?

ぎゅっと。思い切り彼女の体を抱きしめる。戸惑う彼女の顔を見て、しっかりと告げる。

都 大樹

桐谷、いや、シルク。
…大好きだ!!

ずるい。ずるいよ大樹。私だって、私だって大樹のことがずっとだい

そこで、彼女の体は完全に僕の腕の中から消えた。
もう、優しい温かさはここにはない。

都 大樹

シルク…さよなら...

そんな呟きが、僕だけしかいない世界に、小さく、消え入る。

* * * * *

こんにちは。ご覧頂きありがとうございます。

祝☆ストリエ期間延長!!

ということで、今回最終回にしようかなと思ってたのですが、続けることにしました。いかがでしょうか?

まだ読み終わっていない作品が残ってる読者さん、完結しきれていない作品がある作者さん。そんな作者さんたちの為にイラストをアップするイラストレーターさん。後悔のないように最後まで楽しみましょう♪

多分次回こそ最終回です。
それでは、今回はこの辺りで失礼します(*- -)(*_ _)ペコリ

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