悲痛!心奥の呼び声!
[後編]
な……なんだこの光景は……。
Wow!Wow!イメフロ!
Wow!Wow!イメフロ!
Wow!Wow!イメフロ!
イメフロのサポートをするように言われてきてみれば……。
誰ひとりとして、自らの意志で応援していない……。
ナンバーズのゲオライト調整は
イメフロに任せるだって……?
こんなのは……
こんなのは……
クローンの明るい未来
なんかじゃない……!!
この先にあるのは地獄だ!
ナギ……。
言いたいことはそれだけかしら?
好き放題言ってくれた
アナタには、特別に
新しいエンジェリック・ヴォイスを刺してあげるわ。
ダメだ!
逃げろ!慶子!
ゴメン、経次郎……。
……動けないの。
ナンバーズでさえも
全てのゲオライトを抜き取る
この声技……。
行くわよ―!
待ちなさい!!
!!!
!!!
!!!
あ……
あれは!
人の心を縛り付け、
楽しい時間を強奪し、
貴方の主観を強要する!
お代官様が許しても、この私が許しません!
ソウルパニッシャー☆ミナミ参上!
ミナミちゃん!!!
ミナミちゃんだ!!!
自我が
戻ったのか!?
ミナミ!!
ミナミ…?
ミナミちゃん……?
ミナミちゃんだ!
ミナミちゃんだァァ!!
みんなー!
待たせてごめんねー!!
たった一声で
会場の空気を変えるその力……
やっぱり、アナタだけは別格ね。
さて……。
そこの盗人浮世絵クローン!
応援(おしおき?)の時間よ!
ミナミちゃん、嬉しいわぁ……。
また、あなたのゲオライトを
いただけるなんて。
……あら?
やだぁ……。
エンジェリック・ヴォイスの棘が
抜けちゃったみたいねぇ。
もう一回、
刺してア・ゲ・ル!
特大のぶっといやつをね♪
すぅぅぅぅ……
そう言うと、エマ・小石川は
ひときわ大きな息継ぎを始めた。
来る…!
チェーンジ・アークパニーッシュ!
ソリッドヴォイス・オン・サイレントダークネス!
スパイク・
エンジェリック・
ヴォイス!!
波動砲のような
エンジェリック・ヴォイスが
ミナミを襲う。
効かぬ!
な!?
き、効いていないですって!?
1点集中したエンジェリック・ヴォイスなのに!?
スッ
あなたの歌はもう効かないわ!
行くよ、みんな!
うん!
まかせて!
仕方ないな……
『Believe
Youself!』
♪〜〜〜♪♪〜〜
♪〜〜〜♪♪〜〜
♪〜〜〜♪♪〜〜
♪〜〜〜♪♪〜〜
ミ・ナ・ミ!
ミ・ナ・ミ!
ミ・ナ・ミ!
ミ・ナ・ミ!
キャシー……。
どうしたノ、ナギ。
人間は食事をしないと
生命を維持できない。
それは不幸だと思うかい?
いえ、そんな事はないワ。
だって、世の中には色々な美味しいものがあるじゃない。
それを食べるのは人生の楽しみの一つだワ。
ああ、僕もそう思う。
クローンにとって、ゲオライトは
食事と似ていると思うんだ。
みてくれ、キャシー。
ミナミの歌を聞いている人々の顔を。
ミ・ナ・ミ!
ミ・ナ・ミ!
さっきまでとは打って変わって
みんな幸せそうだワ。
お母様の言っていた事はもっともだよ。
不幸なクローンを1人も生み出したくないのは僕も同じ気持だ。
確かにゲオライトランキングは、
R-クローンを救う回避策として産まれた、A4Zの産物だ。
けど、僕は
このキラキラと煌く
彼らの場所を
もっと尊重したいんだ。
何より、僕は
ミナミの歌を
もっと聞いていたい。
わかるワ、ナギ。
……やめて
やめてやめてやめてやめて!
もう、ひとりはイヤ!!
お嬢!
私が奪ったファンは、みんな私のファンよ!
奪わないで!!!
アナタなら、奪わなくてもファンは増えるわ!
ソーー
ーウル
パニーーーーッシュ!
いやぁ〜ん!
もういいだろ、お嬢。
安心しろ。
いつだって俺達がついてる。
私は……
何かを奪い続けないと、
全てが無くなると思っていた……。
……でも違ったみたい。
私の負けね……。
ミナミ!
何かが近づいているぞ!
え?
所詮、クローンはクローン。
使い捨てといったところか?
だれ!?
……8年前。
ゼウス環境プロジェクトの開始とともに、その先を見越して偉人遺伝子を臨床試験に用いた一人の天才がいた。
……でたな……。
さらにその天才は、
いち早くA-クローンのプロトタイプを完成させ、支配力を求めて『ヴァレンティーノ公』の遺伝子を自らに投与した。
ヴォ……ヴォルジアさん?
そして、臨床試験の際に【ZeR0】の一人として作り出された偉人。
それが……。
……この私よ。
このゲスは人の遺伝子で遊び腐りやがって……。
なるほど!
だから【ZeR0】なのに
偉人遺伝子を持つのか!
歌え、エマ。
俺がやめていい、と言うまでな。
もう、お断りよ。
なに?
私のオリジナルは自分の豪快な散り際で、人々の心を奪って満足していたんだ!
アンタの道具になるために
存在したんじゃない!
……私は……
私の意思でゲオライトを奪うし、
私の意思でファンを奪うだけだ!
頑張れ!エマちゃん!
フン、この役立たずが……!
まあいい。
ただの実験体が予想以上に役立っていただけ。
貴様はもはや不要だ!
そこの
【ZeR0】共々
ただの人形と化すがいい!
ヴォルジア……。
事を急ぎたいのはわかるけど、臨床試験に血縁者以外の遺伝子を参加させてはダメよ。
あなたが責任取れないでしょ?
責任なら……。
私が責任を持って『廃棄』いたします。
ヴォルジア!
!!
例えクローンと言えども、
その命の重さは我々の命と変わらないわ。
それがわからない以上、
プロジェクトの開発チームに置くことはできないわ。
伊佐先生!
しばらく秘書として私の側にいなさい。
そして、私の求める物を学びなさい。
この下らぬ馴れ合いの世界……
真の創造主が自ら幕引きし、
新たに作り変えてくれるわ!!
おい、もうやめろ、坊や!
意味がない!
小西さん!
来い!
ロキ!
セイレーン!
……。
全ての者よ!
破壊の神の力と
魔性の歌声で
全てが我が手駒となれ!!
うっ……何だこれは!?
高濃度アマテラスとロキ・セイレーンの混合タブレットの味はいかがかしら?
な……なんだと?
不用心よねぇ。
大泥棒を自分の部屋に
招き入れるなんてね。
くそっ……いつのまに……
がぁぁぁ!!
ヴォルジア
暴走しだした!!
バカが……。
マズい!
観客が大パニックだ!
我コソガ
真ノ神ナリ!
ヴォルジア
急げ、ミナミ!
ヤツが被害を出す前に食い止めるんだ!
おっけー!ゼア!
ミナミちゃん、
私にもやらせて!
よし、一緒に行くのだ!
ソーー
ーウル
パニーーーーッシュ!
パニーーーーッシュ!
ひよぇぇぇ
小夜子様……。
私はただ……
あなたに認めてもらいたかった……。
おい、坊や。
何の用だ、CCC……。
笑いにでも来たのか……?
BBAの遺言が出てきたんだよ。
弁護士立ち会いのもとで開封済みだ。
見ろ。
私が他界した場合、全権をヴォルジアに受け渡す。
ナギは側近としてヴォルジアを全力で補佐すること。
追伸:
この世界の礎ができたのは、あなたのおかげよ、ヴォルジア。
今はまだ突っ走るとこがあるけど、いつかはあなたにもわかってもらえると信じているわ。
な……なんだ……と?
坊や。
あらゆる物を捨ててまで、お前が無理やり奪う必要なんて無かったんだよ。
……う……
うおぉぉぉ!!
小夜子様ぁぁぁ!!
こうして、
ミナミ達の活躍により
クローン界を揺るがす大革命は
創造主の悲嘆の叫びと共に
その幕を閉じた。
あと少しだけ続くぞ。