RAC財団ビル
RAC財団ビル
入ります。
来たな。ナギ君。
早速で悪いが、ゲオライトランキングは今回の1回限りでの終了が決まった。
なぜですか!?
効率が悪い。
それに、優勝した彼らイメフロがアストロTVで全宇宙ネットを行う以上、ナンバーズのゲオライト制御は彼らに任せておけば良い。
しかし……、それでは他の【ZeR0】のゲオライト維持が……。
もはや【ZeR0】は産まれん。
これ以上世話を焼く必要はない。
今いる【ZeR0】を全て見捨てろと?
お荷物を切り捨てるいいタイミングだ。
わかったら、速やかに処理にあたってくれたまえ。
……。
彼の功績であるゲオライトランキングを、ネガティブな印象を与えた上で潰そうなんて外道ねぇ。
なんだ、文句でもあるのか?エマ。
べつにぃ。
今日はアストロTVの出演の日だろう?
きっちり準備していけ。
A-SIREN
これは?
セイレーンだ。
人を惑わすにはうってつけの
A-クローンタブレットだろう。
こんなもの使わなくても……。
クローン界の頂点から
神は退いた。
そして、その世界を破壊して
作り変えるのは怪物の力。
いい趣向だろう?
はい、はいっと。
嗚呼!失われたミナミ!
-RAC厚生病院屋上-
ねぇねぇ、ゼア。
なんだ、奈美。
ハートの首輪を作ったの。付けてみて。
あぁ。
似合うねー。
ゼア、かわいい。
……。
まったく、何をやっているんだ、お前は。
……誰?
誰じゃない!
チェンジサターーン!!
パァァァ
それでもお前は私のライバルなのか!?
……誰?
誰…だったか……。
トリプルサターンのリーダー
ライアだ!
?
本当に……忘れたのか?
奈美、ちょっとそこで待っててくれ。
うん。
ライア、こっちへ来い。
奈美から離れたゼアは
ライアを手招きする。
悪いな……、ライア。
アストロアイドルアカデミー時代の
ミナミの記憶は消してあるんだ。
な……?
ミナミがアストロアイドルアカデミーを卒業する頃、『奈美』の自我が出始めていてな。
奈美は短命の自我。
表に出てしまうと再び不幸な運命を迎えてしまう。
そこで、ナギはミナミのそれまでの記憶と奈美の自我を封じ込めた。
……ゼウスキーパーを使ってな。
……だが、今はもうミナミの自我は失われてしまった。
……ミナミはどうなるんだ?
奈美である以上、その命は短命だ。
……このままでは長くない。
……。
おーい、アストロTVでイメフロのライブ中継が始まるよー!
ケイがゼアと奈美を呼びに来た。
わかった、今行く。
……おい、お前らの仇のヤツのライブを見るのか?
アイツラの歌でこうなったんだ。
アイツラの歌にミナミを元に戻す
ヒントがあるかも知れないんでな。
正直、仇とかどうでもいい。
今はミナミが元に戻る方法を
何としても探したい。
ゼアらが病室へ戻ると
イメフロのライブはすでに始まっていた。
うぅ……。
この曲、変な感じ……。
くぅ、なんだ、これ……。
ものすごく気分が悪いわ……。
イメフロの歌声を聞いた
ゼアらは不快感を感じていた。
しかし……。
Wow!Wow!イメフロ!
Wow!Wow!イメフロ!
Wow!Wow!イメフロ!
病室の他の患者や、院外、
テレビの中からはイメフロを応援する声が
聞こえる。
そこら中から
イメフロコールが聞こえるぞ。
気分が悪いのは俺達だけか?
いや、違う!見ろ!
Wow!Wow!イメフロ!
応援している奴らの顔色は
まるで死人のようだ!
洗脳か……。
ダメだ!こんなの!
放送を中止させる!
私達も行きます。
見てられない葉(よう)!
おい、お前ら無理するなよ?
ミナミ無しで……。
なぁに、こいつらのゲオライトなら
私が調整役になるさ。
よし、そうと決まったら行くぞ!
ちょっと待ってください!
ケイは先を急ぐライアを制止し
ミナミの側に寄る。
そして……。
ミナミちゃん、行ってくるね。
っと、ミナミの手を強く握った。
???
ミナミ?
誰のこと?
今は何も思い出せないかもしれないけど……
私達が必ずミナミちゃんを取り戻す方法を見つけるわ!
え?
……。
そう言うと、ケイらは
アストロTVへと向かっていった。
ゼアは行かないでね……。
安心しろ、ミナミ。
ずっと一緒にいる。
- アストロTV -
さぁ!
まだまだ
続くわよー!!!
どういう体力してるんだ、お嬢。
少しトークでも入れて休憩させてくれ。
みろ、観客を。
Wow!Wow!イメフロ!
Wow!Wow!イメフロ!
Wow!Wow!イメフロ!
これ、倒れるやつが出てくるぞ。
え〜、だってぇ〜
全然疲れないんだも〜ん。
待て!
我々も参加する!
おーっと!
ここで、飛び入りライブだ!
サッ!
サッ!
サッ!
サッ!
スペシャルユニット!
サターン☆パニッシャーズ!
な〜んと!
ソウルパニッシャーズと
トリプルサターンの
スペシャルユニットだ―!
あらあら、何しに来たのかしら?
お前らを止めに来た!
あなた達の歌は
もはや歌じゃない!
言ってくれるじゃない。
あなた達にアタシの歌の
何がわかるって言うの?
お前の歌は正直分からん。
けど、ここにいる人達の顔を見れば
あなたの歌が間違っている事は
わかる葉(よう)〜♪
だったら、あなた達の歌で
この人達を救ってみなさい。
望むところよ!
聞いていていくれ、ミナミ。
オマエの歌だ!
『Believe
Yourself!』
♪〜〜〜♪♪〜〜
♪〜〜〜♪♪〜〜
♪〜〜〜♪♪〜〜
♪〜〜〜♪♪〜〜
♪〜〜〜♪♪〜〜
♪〜〜〜♪♪〜〜
……。
スッ
♪〜〜〜♪♪〜〜
お、おい、ミナミ……?
……。
スッ
なんか言った?ゼア。
あ……
いや……。
奈美はこの曲知ってるのか?
うーん、知ってるような知らないような……。
……そうか……。
でも、この曲好き。
……あぁ。
俺もこの曲は大好きだ。
♪〜〜〜♪♪〜〜
……。
……。
よし、手応えありだ。
イメフロの応援をしなくなってる。
このまま洗脳が解ければ……。
ハッ!これは……
エンジェリック・
ヴォイス!
きゃー!
うおぉ!
クッ!
いやぁ!
うわぁぁ!
いちいち小賢しいわ。
アタシが奪ったものに触れるんじゃない!
く……。
力が入らない……。
あなた達のような凡人の心に
エンジェリック・ヴォイスを
刺すまでもないわ。
歌声だけで痺れてなさい。
こんなの……間違ってる……。
ほざくがいい。
喚くがいいわ。
どうせ、あなた達には
何もできないもの。
……悲しい人。
\カチン/
……何?
あなたは気づいていないのね。
いくら力で人の心を押さえつけても無駄よ。
あなたは永遠に
ミナミちゃんに
勝てないわ!
ホール全体にケイの叫びが木霊した。
ミナミ?
ミナミ?
ミナミ?