クリエ…………
目覚めよ、クリエ…………
…………
……ここは?
また会ったね……
物怖じしない所は相変わらず驚く。話しているのが君の体内にある宝石だというのに
驚くところなの?
……まあいい。それより今自分がどういう状況か分かるか?
どういうこと?
今、君は特別な液体の中で眠らされてるらしい。そのおかげか、私はとても調子がいい
……調子がいい?
いや、何と言えばいいか……人間で例えるなら母体の中に戻ってきた感覚と言えばいいか
入ったことあるの?
……あまりいじめるのは止めてくれ
ところでだ、以前君の体を通じて他の宝石の移植者と干渉できたことを覚えているか?
うん。カイメンと再会できた
……今も、、それと同じ状況に置かれていると言ったらどうする?
えっ?
これ全部……CSの反応?
間違いない。どうやら君は、何らかのカプセルの中に入れられているようだ
そして、そのカプセルの中でも、他の宝石と干渉ができるようだ。君の中の私に集まっている気がする
……つまり?
今干渉している宝石すべてに君が干渉することができるということだ
何故ということまでは分からんが
……その人達と、カイメンの時のように話できる?
可能だ。時間もあの時に比べれば余裕もあるだろう
しかし、話す相手が分からないのは問題だ。君が知っているかどうか、話してみないと分からないからな
……きっと大丈夫。それに、話してみないと分からないし
ううっ……
うぁ……
た……けて
どうしたの?大丈夫?
こ、この声……
クリエ……?
この声……聞き覚えある
ヴァルネス、アイヒェルと……ネクター?
……すごいね、クリエは
長い間会ってないのに、声だけで判別できるなんて
…………
孤児院の子供たちのことは、みんな覚えてる。大事な記憶だから
……そうか
……どうしてみんなここにいるの?新しい親の元に行ったんじゃないの?
その新しい親がシャンブルなんだ
シャンブルって…………
あの人は色んな人を介して僕達を引き取って自分の実験の道具にしたんだ。どこも悪くないのにお腹を開けられて宝石を入れられて……
苦しくて何も考えられなくなって……気づいたら俺達はシャンブルの奴隷になっていた
フルッタが負けちゃいけないって励ましてくれたから、自分の意識はなんとか保ってきた。けど、耐えきれずに暴走した友達もたくさんいたよ
そんな……あの人が…………
ところでクリエ、どうして君がここにいるの?君もシャンブルに引き取られたの?
……ううん。私はさらわれたばかりだと思う
どういうこと?
えっと、あくまで仮定の話なんだけど…………
……ってことは、クリエだけが体内の宝石を制御できてるってこと?
なぁ、クリエならシャンブルを倒せるんじゃないか?
えっ?
俺達の体は宝石のせいでズタボロさ。こうやって意識だけはなんとか正常を維持できてるけど、現実に戻ればすぐにシャンブルの支配下に置かれる
僕達の体内とは別にもうひとつ宝石があるんだ。それが僕達を無理矢理シャンブルの支配下に置かせる、いわば催眠剤のようなものが
それをどうにかして破棄できれば、少なくともシャンブルの実験は阻止できるはずなんだ。けど、俺達はもうろくに体が動かない
だから、クリエにやってほしい
でも…………
いくらなんでも無茶だ!もし現実に戻れたら、俺達はシャンブルの意志でクリエを捕まえなくてはいけなくなる!そうなったら取り返しがつかないんだぞ!
それに、その肝心の宝石をどうやって探し出せばいい?俺達は動けないし、どこにあるかもわからないんだ
それはたぶん大丈夫
私の中の子が、教えてくれるから
……任せていいのか?本当に
任せて。私が必ずみんなを自由にして見せる
これが怪盗シャムロックの、最後の仕事