ローテ

…………ふぅ

隊長、あまり気を落とさず……

ローテ

これが落とさずにいられるか。怪盗シャムロックを二度も取り逃がし、しかも奴の正体がエーデルシュタイン家の養子の可能性が出てきたんだぞ

ローテ

実質的にシャムロックは永久に届かない場所に行ってしまったというわけだ……

しかし、まだそうと決まったわけでは……

ローテ

先程、上からシャムロックに深入りするなとお達しが来た

え……?

ローテ

圧力がかかったんだろうな。これ以上シャムロックを追うなということだろう。そのせいでどれだけの貴族が不安にかられるか知りもしないでだ

ローテ

まったく、これではなんのための騎士だか分からん……

そうでもありませんよ、ローテ騎士

ローテ

ん?

アスター・クライノート

どうも、アスターと言います。しがない宝石鑑定士です

ローテ

……ああ、噂は聞いたことはある。まだ若いながらも、天才的な鑑定眼で有名な鑑定士殿だろう?

アスター・クライノート

自分の評判を面と向かって言われると、恥ずかしいものがありますね。まぁ、ご存知のようで何よりです

ローテ

それで、そんな高名な鑑定士殿が私に何の用かな?仕事に関してなら明日にしてくれ。これでも公私は分けてるつもりなんだ

アスター・クライノート

お手間は取らせません……と言いたいところですが、実はなるべく早急にお願いしたいことがございまして

ローテ

……明日まで待てないのか?

アスター・クライノート

聞いて頂けると嬉しい

ローテ

騎士に入用なら本部に行かれてはどうだ?こんな吞んだくれのただの男二人捕まえて、何の仕事だ

あ、やっぱり僕も含まれてますよね……

アスター・クライノート

まぁ、そちらの用語を用いて言うのであれば、「ガサ入れ」です

ローテ

……失礼だが、ガサ入れの意味はご存じだろうか

アスター・クライノート

ええ。簡単に言えば家宅捜索です

ローテ

意味が分かっているなら尚更……何故あなたがそんなことを私に頼むのか理解できない

ローテ

大方商売敵の鑑定士や宝石商のガサ入れなんだろうが、そう言った私情でガサ入れを行うことはできない。お引き取り願いたい

アスター・クライノート

酷いなぁ、ローテ騎士。この僕が商売敵の情報収集のためにガサ入れを頼むと?

アスター・クライノート

第一、商売敵っていうほど鑑定眼が肥えた人なんてこの街にいませんよ。それに、ガサ入れをお願いしたいのは別のところです

ローテ

……では、誰の家だ?

アスター・クライノート

名前はシャンブル・ヤーデ。職業は闇医者

闇医者!?

ローテ

……罪状は?無免許で手術を使っていたとか、麻薬を薬に混入させていたとか?

アスター・クライノート

まぁ大麻くらいは平気で使ってそうですよね、シャンブルって名前ですし……いえ、僕が睨んでいるのは誘拐と監禁です

ローテ

誘拐と……監禁?あなたの得意先でもさらわれたのか?

アスター・クライノート

いえ、僕の姉です

ローテ

姉?

アスター・クライノート

名前はクリエ・エーデルシュタイン

クリエ・エーデルシュタイン!?

ローテ

バカな!信用できるか!!ではなんだ、姉ということは貴様もエーデルシュタイン家の養子だというのか!?

アスター・エーデルシュタイン

ええ、本名はアスター・エーデルシュタインといいます。お見知りおきを

ローテ

……都合のいい嘘ではないだろうな?見ず知らずの者が貴族の名前を騙った詐欺事件などは珍しくもない。貴様もそうではないのか?

アスター・クライノート

騎士相手に詐欺を吹っかけるほど命知らずじゃありませんよ。なんだったら確認取ってみます?ナルシス・エーデルシュタインに

ローテ

いや、いい。ならば今は貴様のいうことを尊重しよう

アスター・エーデルシュタイン

諦めてくださり、ありがとうございます。あと、ついでにお使いを頼まれておりまして

ローテ

……お使いとは?

アスター・エーデルシュタイン

ナルシス・エーデルシュタインからです。クネート・グミ孤児院の事件の資料を見せてほしいと

ローテ

……分かった、ナルシス様の名前を出されては逆らえん。手配するからせめて……

ローテ

酔いなおす時間ぐらいもらえないだろうか…………

26ct  吞んだくれの騎士

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