場所を移して、潤専用の自習室に座り話を聞く。
悠月から桐子が危ないという話を聞いた。

木原 悠月

秀俊が昨日、きーちゃんを保護して話をしてそう感じたらしい

保護?

木原 悠月

ぼーっとしていてマンションを通り過ぎて駅まで行ったらしい。
話の内容は、亡くなった友人の話なんだけどね

秀俊は不法侵入、暴力の他、彼の悲しい過去で身についてしまった力がある。
自殺するかどうかを見極める力だ。
表情、そして雰囲気、そして周りの事情を考慮して相手が自殺するかどうかを見極める。

木原 悠月

自分は生きている理由があるか

生きている理由か…

自分は生きている理由があるのか。
秀俊が失った彼女が言った一言である。
秀俊は桐子が自殺でもするのではないかと心配して、単独で尾行しているらしい。
颯太は今日は忙しい日であるため、学校にいるのは潤と悠月だけだ。

きーちゃんがね…

木原 悠月

潤、何か話でもしたのか?そもそも二人きりで何をしていたのか気になる

いや、特になにもないね。
昼休みだけ屋上にいるつもりだったが、チャイムに気付かずに外にいたのよね

木原 悠月

ぼーっとしていたのか

桐子の様子がおかしいことに潤も悠月も心配になった。
彼女に聞きだしてみたいが、心を開かせるのが難しいため傍にいる詩音に頼んでみることにした。

詩音は連絡を受けてすぐに駆け付ける。桐子がいなくて少し心細い。

野川 詩音

桐子、いないの?

木原 悠月

先に帰っちゃってね、屋上にずっといたんだけど

野川 詩音

え……

 詩音は戸惑って潤と悠月を交互に見る。桐子から何も聞いていないのだろうか。

野川 詩音

そんな、今一人なんですか

いや、秀俊が後ろで見守っているよ

野川 詩音

そうですか、よかったです

 詩音は桐子が一人でないことに安堵する。詩音は桐子を一人にさせることがあるが、それは家の中や学校の中など詩音の目がある程度行き届いていける範囲の中の話だ。
 しかし、完全に一人にさせるわけにはいかない。友人、瑞希が亡くなってからは桐子を一人にはさせられなくなった。

野川 詩音

瑞希が死んでから、桐子がよく謝るようになりました

謝る?

野川 詩音

独り言のように、ごめんねって

詩音はなぜ桐子が謝るのかわからなかった。何を見て何を感じているのか。

野川 詩音

喧嘩したのかって聞いても違うみたいで

と話していると突然ドアがバンっと大きく開く。
闖入者発見ではなく、知り合いだ。関わりたくない人一位の環奈だ。

きーちゃん、いるかい?

野川 詩音

いないわよ。どうしたのよ?

きーちゃんがとっと気になっていてね

 嫌な予感がすると環奈は言う。詩音もみんな、桐子について危機感を持っていたところだったのだ。
 環奈が伝えた一言に詩音は反応する。

野川 詩音

想いを伝えなければ…桐子みたいになるって…

と詩音は立ち上げる。思い当たることがあるのだ。
みんなは詩音を見て動向をうかがう。

野川 詩音

瑞希…桐子にも残したのね。やっかいなものを

とすぐに走り出すところを傍にいた潤が止めて事情を聞く。
 詩音は過去にあったことを話しだした。
 詩音と桐子と瑞希の物語、そして瑞希と詩音が瑞希の真相を探し始めた物語を…。

あの子の残したメッセージ

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