少しずつ、思い出してきた。



僕は、逃げていたんだ。


僕は、吸血鬼だ。

つまり、僕は王だ。

初めは何なのか良く分からなかった


でも、その事を城にいる人に
聞いたりする内に








吸血鬼というのは
絶対的に人を支配しないと
生きられないことを悟った。








絶対的に
王のような存在として生きなければ
食べ物が得られないから。

でも、支配するのが怖くて、
どうしても、支配しなければいけないって時は
支配するのが、嫌で殺してしまっていた。





その人を一生は、
その人のもので終わらせたかったから。



それも、はた迷惑な話だよね!!

そういえば、
城に医者を呼んだ時、
酔狂なことを言った気がする。

誰も、支配しないで生きること……出来るかな…?


とか、なんとか。


そう言ったら、医者は
黙って、ただ寂しそうに、

でも、嬉しそうに笑ってくれた。

『それが願いなら、いつか』



そう言ってくれた。



聞き返そうとしたら、
そっと首元を差し出すものだから、
何も考えられなくなってしまい、


そのまま本能のままに、血を飲んだ。




そうしたら、また、寂しそうに笑って、
僕の頭を撫でてくれた。


それから、
風邪をひいた時は、
その医者に話をしたっけ。



でも、全部返ってくる答えは一緒。





それでも、その答えが僕の勇気だった。



でも、それが僕の逃げだった。

あの医者は何も知らなかったんだ。



――だって、僕は、
王になる為に生まれて来たんだから。


それ以外を望んだら、死んでしまう。
殺されてしまう。



それなのに、それなのに、どうして、
こんな馬鹿みたいな言葉を信じてしまったんだろう。


それに、繰り返している時に、
合った人なんだろうけど、



もう、その人に、僕は合っていない。



その答えに、その希望に、僕自身を預けていたんだ。


――でも、もう、その医者は現れない
そうだ、僕はもう、裏切られたんだ
その答えは、その希望は、もう、何処にもない



だから、もう、王になっても良い。
もう最善の答えなんて見つけなくて良い。
もう最善の答えに縋らなくてもいい。


もういい。
もういい、もう、
もういやだ、良くない、
けど、もう王になればいいんだ。

僕は、吸血鬼だ。

つまり、僕は王だ。

pagetop