ニオミヤ

はい。お茶。

グレイル

おー、お茶。

グレイル

いや、ラテアートが何か怖いんだけど!?

ニオミヤ

わりと元気になったわね。

さて、作戦会議しよっか。

グレイル

……ちょっといいか。

で、先に断っておくと、森の影響でかなりイライラしてる。

ニオミヤ

う、うん。

グレイル

お前は、どうして吸血鬼と人間が共存できると言ったんだ?

ニオミヤ

言ったっけ…?

グレイル

あー、言ってないか?

まあ、それらしい発言はしてるけど

ニオミヤ

私、ヴィクターのこと師匠って言ったわよね?

グレイル

言ってたな。

ニオミヤ

そう。
私は、あの人の弟子だから。

グレイル

弟子だから?

ニオミヤ


あの人が作ってしまったものを、放置してはおけなかった。

グレイル

ヴィクター本人は?

ニオミヤ

それから、名前もない怪物を開発してから逃げてばっかり。

ニオミヤ



私はその子も保護してあげたいんだけどね。

グレイル

ん?

ニオミヤ

え?

グレイル

あー、いいや。それと、ニオミヤ。

ニオミヤ

何?

グレイル

イラッとすること言っていいか?

ニオミヤ

え、まあ、うん……。

グレイル

お前、共存とか言いながら上から目線だろ。

ニオミヤ

なっ……。

グレイル

じゃあ、逆か。
共存って言いながら、怪物だと思って怖がっている。

ニオミヤ

うるさい。仕方ないじゃない。

だって、人間と吸血鬼なんて――

グレイル

はい、来ました。

人間と吸血鬼なんて? 共存?
出来る? 出来ない?

ニオミヤ

あっ、違う。そういう意味じゃ…

グレイル

そんな考え持ってるのに作戦会議…?

グレイル


――オレ、馬鹿にされてる?

ニオミヤ

そんなことない!!

ちゃんと、ヴィクターJr.が神の怒りから越えられる未来を考えたい…!

ニオミヤ

これは、本当。でも、怖いのも、本当。上から目線なのも、ちょっと本当な気もしてきた。

グレイル

あー、なんか頭こんがらがらせたな。
でも、やっとニオミヤの考え方分かった気がする

悪かった

ニオミヤ

ううん。こっちこそ、ごめんね。

グレイル

あのさ、そこで謝るのイラつく

ニオミヤ

なら、どういえば良かったのよ

グレイル

そうそう。それぐらいが丁度良い

会議はまた明日で良いか?
今のオレ、森の影響でストレスフルだから黙ってたい

ニオミヤ

私も、正直、今の貴方の様子にちょっとびっくりしてる。

グレイル

あー。でも、一つ言っとく。
破綻してるぞー?

ニオミヤ

はたん?

グレイル

嘘吐いてるのが、バレてるってこと

あ、でも、たまに素で間違えたり、忘れてるだけな人もいるから、嘘って確定はしてないんだけどさ。

ニオミヤ

ええと、私、どこかで変な事言ってたみたいね…?

グレイル

まー、そこは保留でも良いけどなー?


苛立ってるのは、此処。

ヴィクターJr.も、寂しい表情する割に教えてくれないし、オレに頼って良いって合図送っても他頼み。

ニオミヤも、人間特有の「人間が中心」みたいな考え染みついてるし、その割に救いたいとか言う。

グレイル

本音ついでに言うと、

――口だけのつもりはないけど、口だけ。諦めてる奴の方がまだマシ。一生このままの状態でいれば?
って思ってる。

ニオミヤ

………っ。

誰もが、貴方みたいに自由なわけじゃないから、仕方ない。

グレイル

――え?
軟禁状態だった奴の、何処が自由?

ニオミヤ

軟禁……?

グレイル


それから、すぐに、
お前らのゴタゴタに巻き込まれて、
また軟禁みたいな事になってるんだけど。

グレイル

オレは、何でもいいから、早く、抜け出したい。

グレイル

だから、自分から吹っ掛けた癖に、明日になったら、問題解決に尽力したい。

ニオミヤ

――そう。ごめんね。

グレイル

……あー、いや。

けど、確かにオレ、言いたい事、全部言えるから自由だったなー。

ニオミヤ

何それ。
……でも、一つだけ。

グレイル

なんだ?

ニオミヤ

もう口だけとは言わせないんで

ニオミヤ

とか、宣言しつつも、不安しかないけど

グレイル

グレイル

分からないけど、死ぬほど嬉しい

ニオミヤ

あ、そうだ。

お茶、冷めないうちにどうぞ

グレイル

飲めるかよ!?

本当にこれ誰のセンスだよ!?

ニオミヤ

ああ、最近バイトに入った

フフフ…

グレイル

あー………コイツは……

グレイル

コイツは保護しなくていいんじゃないかなー?

9歩目…疑心から始める信頼

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