浩也が俺に笑う。
いや、無茶だろ……。こんなの博打にもならない。
な?いい考えだろ?
浩也が俺に笑う。
いや、無茶だろ……。こんなの博打にもならない。
なにをこそこそしてるんだ?
まぁまぁ落ち着いてよ
最後の作戦会議くらいさせてよね、美人な魔王さん
はっ!
なんだ?おべんちゃらでも言って逃れようってか?
いやぁ。やっぱり女の子を口説くってのは俺には無理なのかもなぁ
そんなことを言いながら浩也は剣を構えた。
構えは貧弱、どう考えても勝てそうではない。
浩也は俺のほうを振り返り
最高のドヤ顔を決めた。
俺さ!
こいつ倒したら!
レーナさんに告白するんだ!
ホントに言いやがったよあのバカ
となると、俺も乗るしかねぇのか……
浩也ぁ!
それはフラグだぞ!!
その言葉を聞き届けた浩也は剣を構え走り出す。
浩也の動きは先ほどまでとは全く違うものに見えた
所詮ゲン担ぎのフラグだし、本当に勝てるなんて1ミリも思っていなかった。
でも……
なんなんだよ……あんた……
ちょっとは効いてきたかい?
お姉さん!
少しだがダメージが通っている?
攻撃が効いてるというより、口撃が聴いてるのか?
心なしか魔王が照れてるようにも見える。
バトル中に口説いてんじゃねぇよ
しかも相手魔王だろ
クッソ……やっぱ無理か?
手こずらせやがって……
終わりだぁ!!
魔王さまかなりご機嫌斜めだ
無理もねぇか……
やあぁぁぁぁ!!!
魔王が攻撃を放とうとする瞬間、レーナが大声とともに魔法を打った。
レーナさん
大丈夫なんですか?
はい……
浩也さんが時間を稼いでくれたおかげで、準備が整いました
準備?
なんの準備だろう。なんてぼんやり考えていると魔王の立っている場所を中心に巨大な魔方陣が浮き出てきた。
なっ!
なんだこれは……
魔王が苦しそうにうずくまる。
どうやら魔法陣が魔王の力を奪っているようだ
クソッ!くそっ!クソォォォォ!!
静まりなさい!
エタニティ・リストリクト!!
レーナの叫びとともに魔法陣が赤く光り、魔王を包み込んだ。
まさに断末魔といった様子だった。
正直何が起こったのか分からないが、一応落ち着いたらしい……
呆然としていると、浩也が俺のほうに笑顔を向けた。
今までで一番いい笑顔だった。