ひーちゃんは変わらない。
外見は思いっきり変わったけれど、本質は変わってないと思う。

ひーちゃんはお姉ちゃんのボーイフレンドだった。
お姉ちゃんが中学生になって初めてのボーイフレンドだ。
ある日、家に連れてきた。
小学生だった私は家で独りぼっちだった。お母さんは昔家にいたけれど、お父さんが亡くなってからはお父さんの代わりに働くことになった。
お姉ちゃんは中学生になって少し外に出る時間が長くなって、私は一人でお留守番をした。

ひーちゃんは優しかった。お勉強も教えてくれたし、遊んでもくれた。ひーちゃんはとても頭が良くて一番頭が良い高校に行けるかもしれないということだった。
出会ったころのひーちゃんは真面目だったと思う。髪は今のように染めてなかったし、メガネもかけていた。
今のようになったのはお姉ちゃんが亡くなったからだ。

とても嫌な事件だった。
夏休みの日だった。
お姉ちゃんが死んだ。なぜ死んだのかわからなかった。自殺だった。
大人になりたくないと言って死んだ。
遺書にはそう残されていた。夏の終わりには自殺する子が多いということで片づけられた。

ひーちゃんは変わらないね

うん?どうした?

ううん。なんでもない

ひーちゃんはあれから、変わった。見た目も口調も性格も何もかも変わったけれど、優しいところは変わらない。お姉ちゃんに対して何も変わらないと思う。
お姉ちゃんに対する愛とかそういうもの。
今だって時々、お姉ちゃんのお墓に手を合わせている。

じゃあね、ひーちゃん

家に着いて、ひーちゃんを見送る。
ひーちゃんが見えなくなって私は家に入る。
仏壇に手を合わせてお姉ちゃんに今日会ったことを鉾くした。

変わらないか…

ほめ言葉なのか、どうか。
忍に言われた言葉を繰り返した。
自分は変わったと思う。
髪を染め、そしてメガネからコンタクトにして。
外見だけではなく、中身も変えたつもりだった。

私は、大人になれるのかな…

そう言って、大切な人は死んだ。
死んだところを見ていない。けど、想像できる。
何かにとりつかれたように微笑み、そして空を飛んだのだろう。
彼女の遺書は希望にあふれていた。

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