う、悪のマッドサイエンティストが

誰がなんだって?

現れたのは
案の定というか予想どおりというかの
例のジーニー似の男。



そうだろう。

こういう場合、
8割の確率で見知った顔が出てくるものだ。






しかしここで出てきたのが
ベンおじさんのような
味方枠じゃなくてよかった。

もしおじさんだったら

(※イメージです)

なんて、仲間割れの危機から

という別の話に突入しかねな……




いや、それはない

なにを考えているかは知らないが、PRO-10を連れて行くことはできない。
諦めて帰りなさい



……ベンおじさんラスボス化から
まさかの親子の対面話に
発展していたのが申し訳なく思える
真面目さで
ジーニー似の男は言い放った。




と言うか

そんなことを考えていようとは
どんな天才でもわかるまい。







それは置いといて!

諦めろって言われて、はいそうですかって帰ると思うの?

ひとを機械の型番みたいな名前で呼ぶんじゃないわ!


それが都会の流行りなんだとしても!

逃げ出したのはあなたがたが酷いことしたからでしょ!?
それをまたいなかった分まで働けとか鬼よ鬼!!

お天道様が許してもっ!
このあたしが許さねぇ!!

は? なに言っ……


問答無用!

あたしはクロを抱え上げ、
ジーニーの手を掴んだ。

行くわよ!!

え? あ、あの!?

そして脱兎のごとく逃走した!!

待て!!

待てと言われて待つのは飼い犬だけよ!












あたしは走った。

しかし、1人と1匹連れでは
自慢の脚力も活かせない。


それに比べて
向こうは単独。
勝手知ったる自分の家状態。


間合いは徐々に
詰められていく。




こうなったら

説明しようっ!

この枕も
ジーニーのトンデモ発明のひとつ!

一度この枕に頭を乗せると
起きることができなくなって
しまうのだ!!

くらえ!!


あたしは枕を
後方から迫りくる男に投げつけた。

枕は


と、どう聞いても
柔らかくはなさそうな音を立てる。






ぐあっ!!


直後にうめき声、
そしてまたそのすぐ後には

なにかが倒れる音がした。








が、
聞こえないふりをする。

立ち止まるわけにも
戻るわけにもいかない。





ここで倒れているであろう
ジーニー似の男を助けて










きみが僕を助けてくれたのか!

僕が間違っていた。
敵であろうと分け隔てなく救いの手を差し伸べる、きみはまるで戦場の天才……いや、天使だ!!






















なんて展開には
天地がひっくり返ったって
ならないことぐらい


いくら、

能天気の天才(友人談)

と呼ばれたあたしでも
わかるってもんよ。














































おう! 帰ってきたかー!!


門のところで待っていたベンおじさんは
あたしたちに気がつくと
手を振った。

ジーニーにも会えたのか。
よかったなぁ

……


あたしはおじさんが
いつものベンおじさんで
よかったです。


……じゃなくて。

おじさん!
早くロザンナ出して!!

え? あ、お、おう!

用事が済めばこんなところに
いつまでもいる必要はない。




他人のペットをつけ狙う
2人と1匹の悪党みたいに
欲を出して長居すれば

「やなかんじ~!」

と、吹っ飛ばされるのがオチだ。




いや、あたしは
悪党のつもりはないけども。





















ほれ、早く乗った!

さ、ジーニー早く!!

ロザンナにジーニーを押し込もうとした
その時、

そこまでよ!



上から声が降ってきた。




PRO-10を持っていくことは許しません!





見上げると

くっ……先回りされてたか……!




門の上に王女が立っていた。








きゅう。

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