聞いてくれよ悠

机に頬杖をついているところにクラスメイトの浩也が声をかけてくる。

どうした?

浩也

前にお前と一緒に行ったカフェの可愛い店員さんいただろ?

あぁ
その子がどうした?

浩也

実はその人と連絡先交換出来てさ~
今度デートに行くんだ

そっか

この時の俺はたいして興味を持ってなかった
なんせこいつの恋愛は大体成就しない。

浩也

しかも、あの子俺に相当気がありそうなんだよねぇ

浩也、それなんて言うか知ってるか?

浩也

バカやめろ

『フラグ』って言うんだよ

浩也

それを言うなって!
俺も思ってたんだって!!

こいつの恋愛が成就しないのは俗に『フラグ』と呼ばれるもののせいだ。

もちろん現実世界にフラグが立ったりなんてことはないだろう。
でもこいつを見てると、世の中にはフラグってのが本当にあるんじゃないかと疑ってしまいたくなる。

浩也

はぁ……
意識しないようにしてたのにな
そしたらなんとかなるかなぁなんて思ったんだけどなぁ

お前はホントフラグ折るのが得意だからなぁ

浩也

ほっとけ
わかってるからフラグじゃないって言い聞かせてんだろ

その発言がすでにフラグなんじゃ?

浩也

わかってますーー!!
俺が一番わかってますーー!!

これで失敗したら5人連続か?

浩也

数えてんじゃねぇよ
そんなこと覚えるくらいなら英単語の一つでも覚えてろ

あいにく心配されるほどの成績じゃないんでね

浩也

くそ……
次のテストでは絶対お前より上に行ってやるからな!!

そのセリフも何回聞いたかなぁ

浩也

うるせぇぇぇぇ!!

こうやってこいつのフラグクラッシュネタをいじるのは楽しい。
自分に関係ないからってのもあるのかもしれない

もしかすると浩也はいくつになってもフラグを折り続けて、俺はいつまでもそれをいじってたのかもしれない

あんなことが無ければ……

フラグ1:天才フラグクラッシャー

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