走って

走って

走って

走って

走って

走って

走って

僕は走った

都 大樹

何で……何で桐谷が……

僕が見た時にはすでに、桐谷の姿は変わり果てていた。

……もう、息はしていなかったと思う。

でも何故。どうして桐谷があんなことになってしまったのか。

僕はその原因を探る。

都 大樹

昨日僕が会ったことが、関係しているかもしれない

あるいは、もっと前に。

時間を、出来事を、記憶を遡る。

僕が昨日彼女に会ったこと。そもそも、大学に入って初めて彼女と会ったこと。

夢を。昨日の夜から見ていた夢の中を。
探る。

探って探って探って遡って。

そこでその声を聞いた。

あらあら都さん。都大樹さん。忘れたんですか? あの言葉を。忌むべき副作用を。矛盾の存在を

都 大樹

どうしてお前が!? いや、今はいい。それよりも、何のことだそれは

けれど私は、あなたに答えは教えられませんけどね。だから、あの人に会えばいいと言っているのですよ。矛盾のあの人に

それだけ言って、彼女は暗い世界とともに何処かへ消えた。僕は顔を上げる。

いや、でも。待って

気付く。

今まで考えもしなかった、その事実に。

都 大樹

だけど、それじゃああいつはどう説明するんだ

困惑して、当惑して、混乱して。
衝撃を受ける僕を、さらに彼女は追い詰める。

羽鳥 宇美

げ……

涼紘 夏美

あら……

僕の姿を見て気まずそうにする彼女たち。約束をすっぽかしたことに、多少の罪悪感を感じているのだろうか。

その場所に、桐谷はいなかった。ついさっき僕が見たあの残骸は、やはり本物だったのか。

だけど、それ以上に。
僕を追い詰める彼女。

黒須 美幸

・・・

無言で睨み付けて来る黒須美幸(くろす みゆき)。
世界は僕に残酷だった。

都 大樹

何故君がここに?

唐突に、黒須はその場を走り去った。
だけど、今日は、それだけじゃ終わらなかった。

涼紘 夏美

あっちょっ! もう! 美幸まで!

羽鳥 宇美

全部あんたのせいよ。全く。シルクも美幸も、美樹も……

都 大樹

え?

再び僕の思考は停止した。

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