走って
走って
走って
走って
走って
走って
走って
走って
僕は走った
何で……何で桐谷が……
僕が見た時にはすでに、桐谷の姿は変わり果てていた。
……もう、息はしていなかったと思う。
でも何故。どうして桐谷があんなことになってしまったのか。
僕はその原因を探る。
昨日僕が会ったことが、関係しているかもしれない
あるいは、もっと前に。
時間を、出来事を、記憶を遡る。
僕が昨日彼女に会ったこと。そもそも、大学に入って初めて彼女と会ったこと。
夢を。昨日の夜から見ていた夢の中を。
探る。
探って探って探って遡って。
そこでその声を聞いた。
あらあら都さん。都大樹さん。忘れたんですか? あの言葉を。忌むべき副作用を。矛盾の存在を
どうしてお前が!? いや、今はいい。それよりも、何のことだそれは
けれど私は、あなたに答えは教えられませんけどね。だから、あの人に会えばいいと言っているのですよ。矛盾のあの人に
それだけ言って、彼女は暗い世界とともに何処かへ消えた。僕は顔を上げる。
いや、でも。待って
気付く。
今まで考えもしなかった、その事実に。
だけど、それじゃああいつはどう説明するんだ
困惑して、当惑して、混乱して。
衝撃を受ける僕を、さらに彼女は追い詰める。
げ……
あら……
僕の姿を見て気まずそうにする彼女たち。約束をすっぽかしたことに、多少の罪悪感を感じているのだろうか。
その場所に、桐谷はいなかった。ついさっき僕が見たあの残骸は、やはり本物だったのか。
だけど、それ以上に。
僕を追い詰める彼女。
・・・
無言で睨み付けて来る黒須美幸(くろす みゆき)。
世界は僕に残酷だった。
何故君がここに?
唐突に、黒須はその場を走り去った。
だけど、今日は、それだけじゃ終わらなかった。
あっちょっ! もう! 美幸まで!
全部あんたのせいよ。全く。シルクも美幸も、美樹も……
え?
再び僕の思考は停止した。