程良く散らかった部屋で黒髪の美少女が伸びをする。
程良く散らかった部屋で黒髪の美少女が伸びをする。
あー久々の家だ。落ち着く!!
実家よりもこっちの下宿の方が落ち着くんだよなぁ。
送ってくれた両親も帰宅したし、のんびり好き放題するぞー!!
彼女は現在一人暮らしをしている大学生だ。
どうしても実家からは大学が遠い為、二年前にこの下宿を借りた。
しかし実家の長女ということもあり、法事等の有事の際にはどうしても帰宅しなければならない。
昨日土曜日は曾祖母の三回忌の行事があり、金曜の大学講義が終了してから彼女は自宅に戻っていたのだった。
しかし月曜日は大学講義が一限からということで三回忌の次の日曜日である本日、両親に生活用品等の必要物品と一緒に下宿へ送って貰っていた。
両親も両親で忙しい人達の為、彼女を送り届けて必要物品を車から下宿の部屋に運び、ついさっき早々に帰って行ったのであった。
それでも彼女からすると特に問題は無いのだが。
大学一年生で一人暮らしを始めるとなった時は色々と不安を抱えて焦燥感に駆られていたものだがやってみると意外とどうにかなり、逆に家族に縛られたり予定を作られたりしないので自由気ままに好き放題出来る。
特に夜型でオタク気質の彼女は家族と生活時間帯を合わせる事が実家ではとても面倒であったので直ぐに一人暮らしにも慣れてしまい、ホームシックにもならなかった。
さて折角一人になった事だし、先ずは楽な格好にしよう!
そんな事を思い立った彼女はワンピースの下に穿いていたスパッツと靴下を脱いで洗濯籠に放り込み、髪を二つに結んでいたヘアゴムを外してヘアセット用品入れにしている缶に放り込んでシュシュだけで一つ結びにしてしまった。
やっている事はガサツなのだが、美少女である為にサービスシーン化する。
脳内補正って恐ろしい。
何か今悪口言われた気がするけどまぁ良いか……
続けてクーラーを入れるとビビる地の文はお構いなしに彼女は部屋の奥の物置化している勉強机の方へと移動し、部屋で干しっぱなしにしていた洗濯を取り込み畳みながら順にタンスに仕舞っていく。
全ての洗濯を取り込み終わると勉強机の上に乗っている水槽が良く見えた。
彼女の飼っている赤いベタの水槽である。
因みに名前は敢えて付けない。理由はベタが亡くなった時に名前を付けていると深く感情移入してしまう恐れがあると思っているからだ。
最後にベタに餌をやったのは金曜だが、水槽の中のベタは元気一杯で泳ぎ回り、愛らしい目と仕草で彼女に餌をねだっているように見えた。
ベタただいま~。
わかった、直ぐ餌あげるね
周囲に人が居て美少女補正がかからなければ完全に不審者だが、彼女は嬉しそうにベタに話し掛けた。
この間ベタに話し掛けてるって言ったら母親にはキモイ、妹には寂しい奴ってディスられたけど誰も居ないから問題ないよね~!
そんな事を思いながらベタに餌をやり、手についた餌の臭いを玄関側にある流し台で石鹸を使って洗い流す。
それからは勉強机に向かい合うように置かれているパソコン台に乗っているパソコンを起動し、勉強机とパソコン台両方で兼用している椅子に腰を下ろす。
そしてパソコンの起動を待ちながらベタの様子に和んだ。
ベタはつぶらな瞳で彼女を見つめている。
そんなにこっち見てももう餌はあげないよ~
当然ベタは何も言わないがやっぱり彼女は話し掛けた。
そうこうしている内にパソコンが起動する。
彼女はベタの乗った勉強机を背にしてパソコンに向かい、メディアプレイヤーを起動した。
自分の目が光に弱いと彼女自身が理解している為、ブルーライトカット眼鏡もここまで来たらしっかりと装着する。
下宿に居る間、永遠に曲を流しているのが彼女の中では基本である。
最近ではメディアプレイヤーのループ機能も覚え、しっかりと活用していた。
特に彼女は音ゲーが大好きでスマホには大量に音ゲーアプリが入り、PSVITAの音ゲーソフトや3DSのボカロ音ゲーソフトも大体所持している程だ。
その音ゲーの曲がCDとして発売されていたりもするのでそれを聴く事もかなり多い。
しかし音ゲー曲のCDには余り曲が入っていないという事もあって、三十分程度で聴き終わってしまったりもするのでもう一度再生ボタンを押すのも面倒な為、ループ機能を使うようになった。
特に彼女はオタクであるからパソコンで作業しているという事も大変多い。
中学の頃にパソコン部の部長までやっていたからタイピングスピードには自信があるのだが、物語を打っている場合は大抵長編になるので一気にやりたい気持ちもある。
そんな風に思っていると一々メディアプレイヤーを最小化状態から開き直して再生ボタンを押す事も面倒で仕方なかった為、ループ機能にはかなり助けられていた。
今日は割とやる気もあるし、作業するのに気分が上がる明るい奴が良いかな
そんなように考えた彼女は●●●●がかりのプレイリストを選んだ。
ふふふふふふふふふふふふふふふーん~♪
CDと一緒に歌いながら彼女はTwitterとLINEのアプリを起動してホームやトークの通知を流し見る。
暫く見てからリツイートするような記事と興味あるニュース・トレンドが無い事、公式垢以外のトークが無い事を確認し終えるとそれぞれのアプリを最小化して今度はペンタブを箱から出してパソコンに繋げた。
自分は物書きで絵を描くのは好きだが専門外だと自覚している彼女はよっぽどやる気が無いとペンタブで絵を描く事が出来ない為、今日は敢えてペンタブで絵を描く作業を選んでいた。
今描かないといけないのはco●●coで連載しているあの小説とこれから連載したいあの小説のアイコンと、出来たら現在Twitterのbotでやっているのもストリエに持って来たいからそれだな。
まぁでも恐らくそんなに気力は持たないから・・・取り敢えず現在co●●co公開中の小説のヒロインかなぁ……
少々の熟考を得て描く物を決めたら後はやるだけである。
彼女は改めてパソコンに向き直り、ペンタブのペンを握りしめた。
良し、頑張って描くぞ!
良し完成だ―――――!!
数時間後、彼女はそう笑顔で叫んだ。
って暗ぁ!!今何時だ!?
外は既に暗くなり、今まで陽の光が差し込んでいたカーテンの向こうは真っ暗である。
慌ててパソコンの右下の電波時計を確認すればもう19時になっていた。
そういえばさっき電気点けたじゃん。もう夕飯にして風呂入って早く寝ないと明日遅刻する
彼女は面倒に思いながらも立とうとしたが、その前にある事を思い立ってアプリのTwitterを開いた。
Twitterでまず公開して、それから妹にLINEで送ろう
それから多少の操作をし、まずTwitterに同じキャラクターだが表情の違う四枚のデジタル絵を貼り付けて #イラスト #オリキャラ 等のタグを付けて送信する。
続いてLINEアプリを開き、妹相手のトークを開いた。
それからTwitterに投稿したイラストと同じ物を送った。
ペンタブでアイコン描いてみた!
これで良し……っと。どうせ妹からの返信はこの時間帯だと直ぐ来ない確率が高いから夕飯の支度でもするかな
そう思って漸く立ち上がって眼鏡を外し、電子レンジで母が持たせてくれたおかずや祖母が用意してくれて冷凍庫に移した白米を温める。
彼女は料理をするとレシピ通りにやっても全く違う代物を作り出すという奇異な才能を持っている為、自分で作るのはゆでるだけ、炒めるだけでやれるような物のみに基本的には限定している。
元々料理自体は嫌いという訳でも無いので時々妙な気を起こして作ろうとするのだが、野菜の区別も出来ないレベルなのでどっかで躓く事が多いのである。
この間作ったホットケーキも色んな人に鳥の餌だって言われちゃったしそうそう料理やれないよなぁ
昔親友にも料理については
スーちゃんに料理はさせらんない!
……そんなように言われたものである。
何せ炒飯作るのに火も点けないというような珍事を起こし続けていたものだから……。
正直彼女は親友に聞かされるまで全く覚えてなかったのだが……まぁ黒歴史というものはそんなものであろう。
でもやっぱ母の料理は美味しいなぁ。
節約の為にご飯の他一品程度しか食べれないのはちょっと残念だけど
そんな感想を抱き母親に感謝しつつ夕飯を早々に終えた彼女は流し台に食器を持っていき、水を張った洗面器の中にそのまま放置する。
気が向いたらその日に洗うという事もあるのだが、一人分の食器はそんなに多く無いので水道代節約と言う合理的な理由を作り出して何日か纏めて洗う事が多い。
特に作業に集中し出すとそうなる傾向にある気がする。
夏場は特に溜めない方が良いのだが彼女は作業がしたくて仕方無かった為、そんな考えは頭から抜けていた。
風呂行く前に休憩した方が良いのもあるし、もう一キャラ位描こうかな
洗い物を早々にやらないと不味いという知識はさっさと消えるが高校の時に介護を勉強し、介護福祉士も持っている彼女であるため、食事と風呂の間は時間を置くべきという知識は消えない。
まぁそう偉そうに言いながらも現代社会において食事と風呂の時間の間というのは基本知識の気がするが……。
そうして改めて彼女がパソコン台に向かおうとした時、パソコンLINEアプリの通知音がした。
妹かな?
そう思った彼女は眼鏡を掛ける事も忘れてLINEを開いた。
どれどれ……
確認すると彼女が予想した通り妹からのLINEが入っていた。
お疲れー
あれ?そんだけ?
絵の感想とか無いの?
彼女はそう思ったのだが、取り敢えずイラストの説明を開始する。
何となく思い出してパソコン眼鏡も掛けた。
これはco●●coで連載してるヒロインで、あ、昔小説書いてるって教えた事あったかな?
【茜色の契約】の【彰ちゃん】なんだけど
ふーん
アンタこれに出て来る【晴さん】好きだったよね【あ・か・ね・ちゅわーん】の呼び方が気に入ったみたいで
そうだっけ?覚えてないや。
そういえば姉ちゃんあたしさっき●キャスのガチャですばるんSR引いたんだよ!
マジで!?俺三推しなのにSRさえ中々引けねぇってのに!!
嗚呼でも俺仁さん引くもんなぁ……
羨ましい!でもあたし蒼星さん引くから!!
何それくれよ!
え~
それよりカイト貰ってよ~
嫌、それはもう良いよ……さっきまた俺客からハム貰ったもん……。
……要らねぇよぉ
あたしは最近仁さんの帽子ばっかり貰う
俺も蒼星さんのアンティーク書欲しいんだけどな。
あ、でもヒナの五重塔貰えるのは嬉しいわ。
しかしやけにハムと五重塔とペアチケ多い気がするんだが……。
何か知らんが響也君URもめっちゃ来るし
何それ羨ましい!
まぁ蒼星さんと並んで二推しだもんな。
御前さんとこのカイト並に響也君来るんだよなぁ。三推しだからまぁ嬉しいけど
カイトはもう要らないよ~!
でも欲を言うなら俺、仁さんや響也君よりも蒼星さんが欲し……何でもない
……何だって?コルコルコルコル
……な、何でもないです。
あ、そ、そういえばもうすぐ響也君誕生日だね~
そうだねー
という訳でもう一回描こうか?
善処します
それはいいえか!
さぁね~、あ、そろそろ風呂
へいよ~、ってらっさい魔法書
反応に困るわ
適当に言ってるのとやる気の無さは伝わるだろ~?
まぁそうだけど……
俺も風呂行こっかな~
反応無くなったし行ったかなぁ?
そう思いながらも彼女は暫く待つが、一向に妹からの反応は無い。
俺も行きますか。出たら妹に教わった乙ゲーアプリとパズルアプリログインと音ゲーの課題片付けないとな
彼女達姉妹は妹が高校でスマホを持つに当たって互いの好きなアプリを教えて始めるという事をしたが、その時妹に教わったパズルゲームのスカイの腕は雑魚過ぎて笑いの材料になるレベルであり、ゲーム自体をそうやらない姉妹の母にまで馬鹿にされる始末で気が向かないとログインのみで済ませていた。
但しスカイはオタク。声優が大好きな為、声付きのゲームは辞められない。
ウェーブがタブレットをスマホより前に持っていた為、その当時に勧めて来た乙ゲーの方も声付きの物もあったりして何時しかスカイはそっち方面も沼になっていたが、スマホを変えて容量が大きくなって音ゲーアプリが多く入ってからはそうでも無くなっていた為、こちらもログインのみが通常になっていた。
日替わりログインボーナスもある為、最低限それだけはやっておきたいのである。
酒に酔ってそのまま寝て逃す事や疲れ切っていて日替わり以外のログインボーナスを敢えてスルーしたりもするが。
日替わりログインボーナスでも二十五日分のみである任●堂に釣られて初めたM●●TO●●なんかも敢えてスルーしたりもする。
唯これらのログインは大学講義前後、昼または講義間休憩、帰宅後、寝る前のどこかでやるのがスカイの日課の為、日曜なんかは寝る前になる事が多いのである。
そんなようにログインボーナスの事を考えながら彼女は眼鏡を外して服を脱ぐ。
さっさと行きますか
美少女補正がかかれば目の保養だが本物は……考えない方が身の為だろう。
彼女の下宿は完全に一人用のシステムである。少し歩けばユニットバスがある。
ふぅ……
湯船にはシャワーの音と彼女の一息が響き渡る。
ユニットバスだから沈み難いって事はあるけどそれでも疲れが取れる。
飲み過ぎた後の酔い覚ましにも効くんだよなぁ
……彼女が考えている事は中年のようであったが。
これでも未だ二十代の筈なのだが……。
次の小説の内容は……
彼女にとって風呂とは疲労回復・酔い覚ましの他考え事をする場でもある。
ついさっきの家族会話というどうでも良い話題を考えている事もあるのだが、悩みがあると風呂で考えるし悩んでいない時は小説のネタという課題を無意識に作り出して考えている事もある。
そのせいで長湯になってのぼせ掛けたり他の家族が待ちくたびれるという事もしばしばあるのだが、現在は一人暮らし。好きなだけ風呂が使えるので何も心配せず考えていられるのである。
唯のぼせると後が大変である為、一人暮らしになってからそれは無意識に避けるようになっている気もするが。
……そういえば小説の主人公やヒーロー・ヒロインは昔から十代しか使ってないんだけど、何時の間にか年上だった筈のその子達の年齢を超えちゃったんだなぁ……
風呂が使える時間を気にしなくなるので時折一人で考えていてもこのように脱線していったりもする。
一人で考えているからこそ、かも知れない。
これが実家となると妹と共に入浴し、永遠にオタク話に花を咲かせていてのぼせ寸前になったりもする為、 良い悪いに関わらず、脱線する事はそう無いかも知れない。
そうして入浴する事数分、漸く彼女は風呂を出た。
良い湯だったなぁ
風呂上がりの彼女はパンツの上から腹巻パンツを重ねて穿き、更にキャミソールのシャツのみを着る。
風呂上がりは当然暑い為、この格好で様々な事をやるのが彼女の日常である。
他人の目があって美少女補正が無ければ変質者確定である。
また二十代の癖に色気どころかオヤジ臭のする格好であろう。
この後パジャマを着ても上のシャツを下のズボンに仕舞い、腹の冷えを防ぐのを最優先としている為、実家では良く妹や父親に突っ込まれていた。
さて明日は月曜日で朝から夕方までだから弁当を用意しないとだな
下着のままでそんなように考えた彼女は濡れた髪に被せたバスタオルもそのままで弁当のおかず(※冷凍食品と茹でおかずのみ)を次々と電子レンジや鍋で温めて弁当箱の二段目に盛り付けた。
彼女は元々夜型である為朝にはかなり弱い。
その為朝やらないといけない事は出来るだけ減らしたいので弁当持ちの日の前日の夜の風呂上りにはおかずを用意しておくのが基本であった。
但し白米は余り早く解凍してしまうと固くなるという経験をした彼女なのでそれだけは朝に回していた。
そうして弁当の支度が出来、バスタオルを被ったままの髪も少し乾いて来たため、弁当の次はドライヤーで髪を温め(というか乾かし)た。
それからある程度乾いた髪をブラシでとかす。
そんな事をやっていたらLINEの通知音が鳴った。
確認すると妹からで
風呂出たけどめっちゃ眠いから寝る。
おやすみ
……それだけのLINEであった。
スカイは
律儀だなぁ
そんな事を思った。
又……
音ゲーの課題やったら寝よ
そんなように決めた。
この後風呂掃除を終えて音ゲーを楽しんだ彼女は月曜の大学講義は一限の八時五十分からだというのに三時三十分頃にやっと床に就いたのだった。
to be continued
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本日の行動纏め
1.実家から帰宅
2.家事
3.趣味(本日は音楽鑑賞をしながらイラスト作成&スマホ音ゲー)
本日の交流合計
妹:ウェーブ
両親
合計:三名
作者あとがき
(読みたい方だけどうぞ)
一話が糞長い&マニアックなネタだらけでどうもすみません。
キャラアイコンもコロコロ変わってわかりにくいですよね、すみません。
折角特殊な状況下にして実話を再現するのだから同じキャラの複数の姿を見て頂きたいと思いまして。
わかる人にはわかる!そんな所を目指したい小説なのでちょっと暴走しちゃいましたね……。
一週間なんて大して長くないと思っていたんですが、一日の量がこれだと大変な数だなぁ……。
まぁ今回説明多目だったのが悪いんですけどね。
本当の日常って文字にするとこういうものなんですね。
拙い物語だとは思いますが、宜しくお願いします。
そうそうこの物語の主人公は作者を元にしたキャラですが、本来の性別はお好きなように想像なさって下さい。