おお。なんということだ。国宝レベルか、天然記念物なのか?
すごくかわいいねー。そこのクールビューティー

びしっと指を指されたのが桐子。
桐子は何者なんだと怪しみながら、返事をする。

わ、私?

そうだよ。君だよ。なんというか私の愛しのちーちゃんに似ている

とぐいぐいと近づいてくる。
桐子はその積極的なところに驚いている。

香りも…似ているね

はあ…そうですか

せっかくの出会いだ。キスしよう

えっ!?

何言っているのか、この人。
桐子は自分の身に危険が迫っていることをやっと理解した。
詩音と忍はこの人はすごく危ない人だということでこのおせっかいをどうにかしようとしているのだが、相手が怖すぎて何もできないらしい。

はい、そこまで

と薄墨潤がおせっかいの頭を掴んだ。
おせっかいはぐえっと蛙のような声を出して、後ろにぐっと引っ張られた。
 桐子はおせっかいの恐ろしい攻撃に茫然としていた。

おおー、潤さん。ちーちゃんはどこです?

私の後ろにいるが、君には会わせられないね。君がこんなに野蛮だとは思わなかったよ

 千夏は潤の背中からこっそりと顔を出して、おせっかいを見ている。

環奈さん

愛しの君のために勝手に参上!

 びしっとヒーローのようなかっこいいポーズを決めた。私たちはおせっかいの行動に驚いていたが、ちーちゃんは環奈さんかっこいいとつぶやいて頬を染めた。

環奈さん、かっこいい

それは光栄だ。
ぜひ、友達になってくれ

それは…

 ちーちゃんは友達という言葉で表情を曇らせる。
おせっかいはダメかーと苦笑して、去っていった。

 安立環奈、おせっかいの名前である。
誰とでも仲良くなれるという特技を持っており、顔が広い。困っている人を見捨てないという良い人であるらしい。
 しかし、千夏に対してはおせっかいすぎるというのが欠点である。

よー、小邑さん

 放課後、掃除当番のため教室に帰って掃除をしていたら会いたくない人に会った。
 なんということでしょう。環奈はぐいぐいと近づいてきた。かわいいねーと怪しい手の動きもついてとても怖い。

後でいいかな。掃除だから

OKさ。その後はお楽しみってことだね

 桐子はさっさと手足を動かして掃除を済ませた。
 二人きりで話したいと移動したのは屋上だ。
 桐子は環奈が一体どんな話をするのだろうと考えていた。
 自分と環奈は知り合ったばかりで話すことなんて、千夏、ちーちゃんしかいないだろう。

ちーちゃんが変わった理由を調べたい?

そう。ちーちゃん、中学の途中までは人と仲良くできていたんだけどね。
ある日から一人になるようになったんだって

 自分が不幸にさせるということを言っているが今までそんなことはなかったらしい。
 どうしてそうなったのかわからないと同じ中学だった子に聞いたらしい。

ここに入ったのも、一人になるため?

そうみたい。一人になる方法を探しに来たって言ったの

 それでも環奈はちーちゃんと仲良くなりたい、友達になりたいのだ。

それでね…ちーちゃんと初めて仲良くなったんでしょ。小邑さん。協力してくれないか

協力は…するかもしれない

おー、ありがたい

 桐子はさっそくアドバイスをする。
友達と仲良くあり続けることの一つを教えた。

後悔しない内に思いを伝えればいいよ

思いを伝える?

まあ、簡単に言えば私みたいな人にはなるなってこと。
私は友達との約束を果たせなくて、後悔して今の自分がいる。
安立さんは、たぶん大丈夫

 桐子は理解するのに難しくて困惑している環奈を置いて屋上を去った。
 瑞希と約束していた大事な事を果たせなかった。
ずっと心残りになっていることだ。
 今日もどこかで瑞希に謝る。
 伝えられなかったこと、そして瑞希の死体。
 最後話した時の瑞希の笑顔。

どうして、私って生きているのだろう

 自分が残ってしまった。
 良い人が亡くなってしまった。
 私がいなくなって、瑞希が生きていたらいいのにと思ってしまった。

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