【43】渡さない


















剣持 朱梨

そっ、

剣持 朱梨

そんなこっ恥ずかしいことさせんじゃねーよ




俺は思わずそう言ってしまっていた。





杏子は

小鳥遊 杏子

……

黙っていたけれど

小鳥遊 杏子

冗談、冗談。
どうするかなーって思ったんだ
あはははははは

その後で
誤魔化すように笑い声をあげた。







声の中に
表情に
明らかながっかりした感を感じる。

だが、こればっかりは
勘弁してくれ。
俺のキャラじゃない。




それに、
花言葉が嫉妬なんて言う花を
貰って嬉しいのかお前は。










でも、

いや、
やっぱり無理。


だって杏子は幼馴染だし
彼女……じゃないし



剣持 朱梨

開けるぞ~



ああ、もう!

俺は早く元の世界に帰りたいんだ。



購買部のパンが
売り切れることだけを
心配すればいいような、そんな

平凡な日々に――


小鳥遊 杏子

朱梨、

剣持 朱梨

なんだよ

小鳥遊 杏子

……あなたに、精霊の加護がありますように

剣持 朱梨

……は?

小鳥遊 杏子

ふふ。ちょっと言ってみたかっただけー

剣持 朱梨

アホかい






なにか言いたげな杏子に背を向け
俺は鍵を回した。
































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