【42】渡す


















俺は薔薇を見た。

剣持 朱梨

ま、別に使うもんでもないしなー



黒ローブがなんの意図で
これを寄越したのかは定かではないが

俺が持っていようと杏子が持っていようと
そこは別に問題じゃないだろう。

剣持 朱梨

ほれ



俺は薔薇の枝を
突き出した。




杏子が苦笑する。

小鳥遊 杏子

……もうちょっと雰囲気が欲しいなぁ

剣持 朱梨

そんなところまで要求すんな、馬鹿

小鳥遊 杏子

えへへ




それでも杏子は
嬉しそうに笑って、

小鳥遊 杏子

さあ、行こう。朱梨

と、俺の袖を引っ張った。








そして小さく一言。

小鳥遊 杏子

……あなたに、精霊の加護がありますように

剣持 朱梨

? おう



あの本の台詞だろうか。


俺は物語Ver.をまともに
読んでいないからわからないが。













薔薇を貰って精霊の姫にでも
なったつもりなのかもしれない。



「女の子はいつまでたっても
お姫様なのねw」
なんて鳥肌が立ちそうなキモいことを
思うつもりはないが、





ちょっと照れくさい。







剣持 朱梨

開けるぜ




俺は鍵を回した。















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