【22】五色の鍵




























来栖 康青

今度はなんの鍵だ?


オッサンは
新たに見つけた鍵を取り出した。





金の鍵の色違い。

金の箱の鍵が金の鍵だった
ところから推測すると
銀の箱もあるのだろうか。

来栖 康青

お、なんか書いてある


鍵を取り出したあとの箱を
覗き込んで
オッサンはそう呟いた。

来栖 康青

なになに?
「さらなる答えを手に先へ進め」……?

剣持 朱梨

どういうこと?

来栖 康青

さあねぇ


銀の鍵を持ってどこかへ行け
と言うこのだろうか。










でも、どこへ。







来栖 康青

「箱を開ける」以外の答えが、まだあの絵に隠れているのかもしれない




オッサンはドーナツに手を伸ばすと

イチゴチョコのそれを頬張った。





剣持 朱梨

オッサン、こんな時によく食えるな

来栖 康青

だってよ……モシャ、腹が減ってはナントカって……モシャ、言うだろ

剣持 朱梨

食いながら喋るな




そりゃあ有名なことわざだけど。


その前にそのドーナツは
ここで見つけたやつだろ?

誰が用意したのか
わからねぇやつだろ?




それをそんな不用心に
かぶりついちゃって
もしなにかあったら……

来栖 康青

いて

剣持 朱梨

ほら言わんこっちゃない




ドーナツになにか入っていたらしい。
硬い音がした。



見ると、かじった跡から
なにか棒状のものが覗いている。


来栖 康青

今度は赤い鍵……?

剣持 朱梨

もしかして他のドーナツにも埋まってたりしないよ……な?

小鳥遊 杏子

あっ!



うさぎの横で同じように
ドーナツを手にしていた杏子が
小さく声を上げた。




見るとその手にも

鍵がある。



剣持 朱梨

おいおい




俺たちは皿盛りのドーナツを
全て割ってみた。



























結果、見つかった鍵は
合計5本。







箱を開けるのに使った金の鍵。



その箱から出て来た銀の鍵。



オッサンが食いかけた赤い鍵。



杏子が見つけた青い鍵。



そしてドーナツの山の中から
見つかった緑の鍵。



金の鍵はもう使ってしまったから
省くとして

いきなり用途不明な鍵が4本も
増えたってわけだ。









それに加えて箱に書いてあった
「先へ進め」
の文字。













剣持 朱梨

……いきなりアイテムだけ増えても困るよな

来栖 康青

謎も1個残ってるぜ?
「さらなる答えを手に」って

剣持 朱梨

鍵のことだろ?



もしかしてこの鍵を手に取ったら
魔法でも発動して
異世界にでも飛ばされるんじゃ、なんて

ほんの少しだけ思ったけれど






そんなミラクルまでは
用意されていないらしい。

来栖 康青

この言い方からすると、やっぱりあの絵にまだ秘密があるってことか?

しかし、2枚の絵には
薔薇の色違い以外
違う箇所はなさそうだ。

剣持 朱梨

わからん



来栖 康青

……そう言やあ美登里さん遅いな



ドーナツを飲み込んだオッサンは
席を立った。

来栖 康青

ちょっと見て来るわ。
喉も乾いたし

剣持 朱梨

ごゆっくりぃ



やはりこの状況下で
姿が見えないというのは
気になるのだろう。



オッサンは再び席を立つと
扉に向かった。











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